米国関税措置とその影響 ~中堅中小企業が取るべき財務・労務対策~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「日本は本当に労働力不足なのか」第2部、労働時間から検証していきます。
はじめに
第1部では、外国人労働者数や労働力人口といった「人数」の観点から、日本の労働力の現状を整理しました。その結果、日本は必ずしも「働く人が減り続けている国」ではないことがお分かり頂けたかと思います。
それでもなお、人手不足が解消されない理由を考えるには、人手不足を人数ではなく「労働時間の不足」として考える必要があります。
第2部では、厚生労働省の分析をもとに、「不足している労働時間はどこまで補えるのか」を検証します。
人手不足は「労働時間」の不足として考える
厚生労働省が2025年9月に公表した「労働経済の分析(令和7年版)」では、
「労働力人口が増加しているにもかかわらず、企業現場では人手不足感が強く残っている」
と指摘しています。
これは、業務量に対して、労働時間が不足していることを意味します。
つまり、いま起きている人手不足は、
「人の数が足りない」というより「必要な労働時間が確保できていない」状態
といえます。
働く意思があるのに働いていない人はどれくらいいるのか
ここで注目すべきなのが、いわゆる無業者です。
労働経済の分析によると、日本には「働く意思があるにもかかわらず、現在は就業していない人」が約400万人存在するとされています。
しかし、この400万人すべてが、すぐに労働力として活用できるわけではありません。
無業者のうち、就業が難しい主な理由として、育児・介護との両立が挙げられています。育児や介護を理由に就業できない人は、約227万人にのぼります。
この人数を差し引くと、
無業者400万人 − 育児・介護が理由で就業できない人227万人= 約170万人
が、条件次第では就業可能な人数とも言えます。
無業者が生み出す労働時間を考える
ここで仮定をしてみます。
この約170万人が、
- フルタイムではなく
- 週20時間程度(月80時間)
働いたとすると、
170万人 × 月80時間 = 約1億3,600万時間/月
の労働時間が新たに生まれる計算になります。
これは、日本全体で「人手不足」と言われている労働時間の相当部分を補える規模です。
少なくとも、「まったく手の打ちようがないほど人が足りない」という状況ではないことが分かるかと思います。
なぜ人手不足は解消されないのか
ここで重要なのは、
制約がある人を除いても、働いていない理由が存在する
という点です。
労働経済の分析では、無業者の中で育児・介護や病気といった理由以外に、次のような理由が挙げられています。
- 希望する勤務時間・日数に合う仕事がない
- 賃金や労働条件が見合わない
- 責任や業務負担が重すぎると感じる
- ブランクへの不安や、スキルへの自信不足
これらはいずれも、「働けない」のではなく、「働く条件が一致しない」ともいえます。
つまり、人手不足が続いている背景には、
労働力が存在しないのではなく、労働したい人のニーズと企業側の条件が合っていない
という構造的な問題があるのではないかと思います。
まとめ
第2部では、人手不足を「不足労働時間」と「潜在的労働力」の視点から検証しました。
その結果、
- 働く意思のある人は存在する
- 労働時間ベースでは補える余地もある
にもかかわらず、人手不足が続いているのが実態です。
問題の本質は、
人がいないのではなく、働きたい人が希望する環境や条件と合っていないこと
にあると考えられます。
次の第3部では、こうした構造を踏まえ、中小企業が人手不足を解消するために
具体的に何を変えるべきかを、実務の視点から解説していきます。



