「しごとより、いのち」 ~11月は過重労働解消キャンペーン月間~
はじめに
第1部では金融経済教育の背景や現在の取り組みを、第2部では金融経済教育と企業の労務管理の共通点を整理してきました。
第3部では、企業がどのように労務管理を整えていけばよいのかを考えていきます。
金融経済教育の「分かりやすく伝えること」「自分で考えられる状態をつくること」は、労務管理においても欠かせない視点です。
ここでは、実務の中で見直したいポイントを中心に、実際に起きている、または起きる可能性があるケースを交えながら整理していきます。
1.雇用条件は「知っている」ではなく「伝わっている」か
労務トラブルの多くは、制度がなかったことよりも、「きちんと伝わっていなかった」ことに原因があります。
雇用契約書や労働条件通知書を交付していても、その内容が十分に理解されていなければ、後々のトラブルにつながりかねません。
【ケース】
「残業代は支払っている」と会社側は認識していても、固定残業代の趣旨や計算方法が従業員に伝わっておらず、「残業しても給料が増えない」と不満が生じているケース
金融経済教育では、難しい言葉を避け、具体例を用いて説明することが重視されます。同様に、労務管理においても、「この手当は何のためのものか」「何時間分の残業に相当するのか」といった点を、入社時や定期的な面談の場で丁寧に伝えることが重要です。
2.賃金の考え方を言語化できているか
給料は「頑張りへのご褒美」ではなく、「働いたことへの対価」です。この前提が曖昧なままでは、評価や処遇に対する不満が生じやすくなります。
【ケース】
「前からそうだったから」「何となくこの金額でスタートした」といった理由で賃金が決まっていることも。その結果、昇給基準を説明できず、評価制度が形骸化してしまうケース
職種ごとの役割や期待される成果、責任の重さなどを整理し、「この役割にはこの水準の賃金を支払う」という考え方を言語化することが、従業員の納得感につながります。
3.就業規則は会社を縛るものではなく、守るためのもの
就業規則というと、「会社を縛るもの」「トラブルのもとになるもの」と捉えられがちですが、本来は会社と従業員双方を守るためのルールです。
【ケース】
休職や懲戒に関するルールが曖昧なまま運用されていると、問題が起きた際に対応が属人的になり不公平感が。その結果、別のトラブルを招くケース
金融経済教育でルールの必要性を説明するように、就業規則についても「なぜこのルールがあるのか」「どのようなケースが該当するか」を説明できることが重要です。
形だけ整えるのではなく、自社の実態に合った内容になっているかを定期的に見直すことが求められます。
4.お金と労務を切り離さずに考える
人件費はコストであると同時に、企業活動の基盤です。
人件費の考え方が整理されている企業ほど、経営の見通しが立てやすいと感じています。
労務管理を感覚や慣習に任せるのではなく、数字と仕組みの両面から整理することが持続的な経営につながります。
まとめ
第3部では、中小企業が見直したい労務管理の実務ポイントを整理しました。
金融経済教育で子どもたちに伝えたのは、「働くこと」と「お金をもらうこと」の関係と、自分で考え判断する大切さです。この視点は、そのまま企業の労務管理にも当てはまります。
社労士として労務を学び、銀行員として企業の数字を見てきた経験から言えるのは、
「労務管理と財務は切り離せない」
ということです。
人に関するルールとお金の流れをセットで整理することが、結果として強い組織づくりにつながります。
マネジスタ湘南社労士事務所では財務、労務に関する相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。




