金融経済教育と労務管理の共通点 ~【第2部】「働く」「給料」「ルール」を言語化するということ~

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は「金融経済教育と労務管理の共通点」第2部、働くことのルール化についてお話しします。

はじめに

 第1部では、金融経済教育が国を挙げて推進されている背景と、小学校で行った金融経済教育の授業内容をご紹介しました。そこでは、「働くこと」で「お金をもらうこと」という、お金と労働の関係を授業でお伝えしました。
この視点は、企業経営、とりわけ労務管理においても非常に重要です。
 第2部では、金融経済教育と企業の労務管理の共通点を整理しながら、「なぜ労務管理にはルールが必要なのか」「なぜ言語化が重要なのか」を考えていきます。

「働く」とは約束を守ること

 金融経済教育の授業では、「契約」について説明をしました。そして、働いた対価として給料が支払われることも説明しました。
これは、企業における労働契約そのものです。
労働時間、業務内容、賃金といった条件を事前に取り決め、その約束に基づいて働く
こうした契約があるからこそ、働く側も安心して仕事に取り組むことができます。
 一方で、約束が曖昧なまま働き始めると、後になって「聞いていた話と違う」「そんなつもりではなかった」といった認識のズレが生じやすくなります。

給料は感謝や評価ではなく「対価」

 職場では、「頑張ってくれているから」「忙しい時期だから」といった理由で、給料や手当を考えてしまうケースもあります。
 しかし、本来の給料は労働時間や仕事の内容、責任の重さに対する対価です。
給料は「ご褒美」ではなく、「価値を交換した結果」です。
この前提が曖昧だと、従業員は評価の基準が見えず、不満や不信感を抱きやすくなります。
給料の考え方が曖昧な職場ほど、労務トラブルが起きやすくなります。

ルールがあるから安心して働ける

 学校生活では、時間割や校則といったルールがあることで、子どもたちは安心して過ごすことができます。
 同じように、職場においても就業規則や賃金規程といったルールがあることで、従業員は安心して働くことができます。
 ルールがない、あるいは形だけになっている職場では、判断が場当たり的になりがちです。
その結果、「あの人は優遇されている」「自分は不利だ」といった不満が生じやすくなります。

説明できない労務管理はトラブルのもと

 学校では「なぜそうするのか」を説明することで、子どもたちはルールを納得して受け入れやすくなります。
 労務管理も同様です。
賃金の決定方法や働き方のルールを説明できない状態は、トラブルの温床になります。反対に、仕組みを分かりやすく説明できれば、従業員との信頼関係は変わります。

社労士×銀行員の視点から感じること

 金融経済教育だけでなく、学校の授業で教えられている内容は決して特別なものではありません。しかし、企業の労務管理の現場では、こうした「当たり前」が十分に言語化されていないケースがあります。
 労務トラブルで感じるのは、「決まりがなかった」のではなく、「説明されていなかった」「共有されていなかった」という問題が多いという点です。
 また、銀行員として企業の数字を見てきた立場からも、賃金の仕組みや費用の考え方が整備されている企業ほど、経営が安定しているように感じています。
金融経済教育で教えられている基本を、企業の中でも当たり前に共有できているか。
この点が、労務管理の質を左右する重要なポイントだと考えています。

まとめ

 第2部では、金融経済教育と企業の労務管理の共通点として、「約束」「対価」「ルール」という三つの視点から整理しました。
働くことと給料の関係を明確にし、そのルールを言語化する事が労務トラブルを防ぐだけでなく、従業員が安心して働ける職場づくりにつながります。
 金融経済教育で教えられている事を、企業の中でも当たり前として共有できているかが、労務管理を左右するとも言えると思います。
 次の第3部では、こうした考え方を踏まえ、企業がどのように労務管理を実務的に整えていけばよいのかを具体的に見ていきます。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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