無期転換ルールと多様な正社員をどう対応するか 【第3部】中小企業が整備すべき労務管理

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんばんは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今年最後のコラム「無期転換ルールと多様な正社員」第3部、今回は中小企業が整備すべき労務管理についてお話します。

はじめに

 無期転換ルールや多様な正社員への対応は裁判になってからでは遅く、日常の労務管理が重要です。
第3部では、これまで見てきた裁判例を踏まえ、中小企業が実務として整備すべきポイントを整理します。

実務対応の全体像

 企業が整備すべきポイントは、次の3点に集約されます。

  1. 有期契約社員の管理体制
  2. 無期転換後の労働条件の整理
  3. 多様な正社員の位置づけの明確化

1.有期契約社員の管理体制:有期契約管理の見える化

有期契約社員の管理は、契約の「見える化」が必要です。

  • 通算契約期間・更新回数の把握
  • 無期転換申込権が発生する時期の管理
  • 更新・雇止め判断の記録

 これだけでも、トラブルの多くは未然に防げます。

2.無期転換後の労働条件の整理:無期転換後のルールを事前に定める

 無期転換後の契約をどうするか、事前に定め周知する必要があります。

  • 賃金・手当の取扱い
  • 就業規則の適用関係
  • 正社員・多様な正社員との関係整理

 「無期転換したらどうなるのか」を明確にしておくことが重要です。

3.多様な正社員の位置づけの明確化:契約内容を明確に

 周囲が納得出来るよう、多様な正社員の位置付けを明確にする必要があります。

  • 限定される職務・勤務地・労働時間
  • 限定の範囲と変更の可能性
  • 待遇差の考え方

 書面による明示と説明が、紛争防止につながります。

まとめ

 無期転換ルールと多様な正社員を巡る最近の動向から見えてくるのは、
「中小企業にとって重要なのは知識よりも実務対応」という点です。

  • 契約管理の見える化
  • 労働条件の明確化
  • 合理性を説明できる体制づくり

 これらを整えることで、無期転換ルールはリスクではなく、人材定着を支える制度として活用することができます。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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