【妄想コラム】もしも白洲次郎が現代のCEOだったら ~“プリンシプル経営”から“パーパス経営”へ~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
12月23日に厚生労働省より「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」が公表されました。今回は、
- 【第1部】無期転換ルールと多様な正社員の基本的な考え方と動向
- 【第2部】無期転換ルールを巡る裁判例の争点
- 【第3部】無期転換ルールと多様な正社員の実務対応
の3部構成でお話したいと思います。
はじめに
無期転換ルールを巡る裁判例が増加する中、中小企業にとってもこの問題は他人事ではありません。有期契約社員を活用する企業が増える一方で、雇止めや無期転換後の処遇を巡る労務トラブルが顕在化しています。
「制度は知っているが、実務としてどう対応すればよいのか分からない」
「多様な正社員として無期転換したが、正社員との違いをどう整理すればよいか」
といった声も聞かれます。
こうした背景を受け、厚生労働省は2025年12月23日、「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」を公表しました。
第1部では、無期転換ルールと多様な正社員の基本を整理し、なぜ今このテーマが注目されているのか、その背景と最近の動向を確認します。
無期転換ルールの基本的な考え方
無期転換ルールとは、有期労働契約が同一の使用者との間で通算5年を超えた場合、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約へ転換できる制度です。
実務面で重要なのは、
- 5年を超えた時点で自動的に無期になるわけではない
- 労働者からの申込みがあって初めて成立する
という点です。
一方で、契約更新を繰り返してきた場合、労働者側に「今後も更新される」という期待が生じやすく、雇止めを行う際には慎重な判断が求められます。
多様な正社員とは
多様な正社員とは職務内容・勤務地・労働時間等に一定の制限を設けた正社員を指します。
無期転換後の受け皿として導入されることも多い働き方ですが、限定内容や処遇の違いが曖昧なまま運用されると、労務トラブルの原因となります。
最近の動向と公表の意義
近年の裁判例では、制度違反そのものよりも、契約内容や労働条件の不明確さが問題とされる傾向が強まっています。
今回の厚生労働省が公表した資料は、こうした裁判例を整理し、企業に対して実務上の注意点を示したものともいえます。
第1部のまとめ
無期転換ルールと多様な正社員は、正しく理解し運用すれば人材の定着につながる制度です。一方で、理解が不十分なまま運用を続けると、思わぬ労務リスクを招きます。
次の第2部では、厚生労働省資料で紹介されている裁判例をもとに、実際にどのような点が争点となり、企業側のどこに問題があったのかを見ていきます。



