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こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は「年収の壁」第3部、働く人や企業にどのような影響を与えるかをお話します。
はじめに
第2部では、所得税の非課税額の引き上げによる減税効果を見てきました。
第3部では、この改正が働く人や家計、企業の人事労務管理にどのような影響を与えるのかを整理します。
働く人への影響
所得税の壁が引き上げられたことで、
- シフトを増やしやすくなる
- 年末の就業調整が緩和される
といった動きが期待されます。
一方で、社会保険加入をどう捉えるかによって、「短期的な手取り重視」か「将来の保障重視」かという選択が必要となってきます。
家計への影響
配偶者の収入が増えることで、世帯年収や可処分所得は増加します。
ただし、社会保険料の負担が発生する場合は、世帯全体での収支バランスを考えることが必要です。
企業に求められる対策
年収の壁の引き上げは、人手不足解消や人材戦力化促進に繋がる可能性があります。
一方、今回の改正を効果的に活用するには、
- 社会保険加入対象者の増加への対応
- 労働時間管理の適正化
- 制度説明・相談対応の強化
などの対策が必要となります。
厚生労働省「年収の壁」支援パッケージとは
厚生労働省は、年収の壁を理由とした働き控えを防ぐため、「年収の壁」支援パッケージを実施しています。主な内容は、
- 社会保険加入に伴う手取り収入を減らさない取組への支援
- 時的な収入増の被扶養者認定の維持
などです。
特に、社会保険加入による手取り減少を緩和する仕組みは、企業が社会保険加入を検討する従業員に説明する際の重要な材料となります。制度を正しく理解し、活用可能な支援策を検討することが求められます。
厚生労働省「年収の壁・支援パッケージ」
社長・人事担当者向けQ&A
ここで、改正に伴う企業の疑問点について、Q&Aで説明します。
Q1.今回の税制改正で、会社の税負担は増えますか?
A.所得税の改正によって企業の税負担が増える訳ではありません。
ただし、社会保険加入者が増えれば、会社負担分の社会保険料は増加します。
Q2.従業員への説明は必要ですか?
A.必要です。年収の壁は誤解されやすいため、税金と社会保険を分けて説明する
ことで、不要な就業調整を防ぐことにつながります。
Q3.支援パッケージは活用すべきでしょうか?
A.人材確保や定着を考えるうえで、活用できる制度は前向きに検討すべきです。
第3部まとめ
第1部のまとめでも書きましたが、過去2年で所得税の年収の壁が178万円まで引き上げられた今回の税制改正は、約30年間の短時間労働者の就労時間を抑制し、「働き控え」という経済損失を続けてきた構造的な問題が見直される転換点ともいえます。
また、この年収の壁見直しは、働く人の選択肢を広げ、家計の考え方を変え、企業の人事労務管理に影響を与えます。
制度を正しく理解し、従業員に分かりやすく伝えながら効果的に運用するための社内整備することが、企業経営における重要なポイントになります。
マネジスタ湘南社労士事務所では財務、労務に関する相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



