AIと労働環境を考える ~第3部:企業と従業員に求められること~

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「AIと労働環境を考える」シリーズ最終回、今回は企業の対応と従業員が身につけるべきスキルについてお話します。

はじめに:これまでのまとめ

 第1部ではAIが労働環境へ与える影響を、そして第2部では影響を受ける仕事と新たな人材像を整理しました。 
 最終章となる本章では、それらを踏まえて 「企業はどうするべきか」「従業員は何を身につけるべきか」 を整理していきます。

企業に求められる対応

 企業に求められる対応例を、労務・財務の視点も入れて考えてみました。
1. AI人材育成と全社的なリテラシーの基盤づくり

  • 管理職も含めたAIリテラシーの向上
  • パープルピープル候補を育成する仕組みづくり


2. 人事労務の再設計とリスク管理

  • 業務や人材再配置などの見直し
  • AIやITを考慮した情報管理、ガイドライン整備
  • 労働時間管理や安全配慮義務に対する対応の見直し


3. 財務戦略としてのAI活用

  • ROIや一人当たり付加価値などによる投資効果測定
  • キャッシュフロー・人件費構造の最適化

従業員に求められる能力

 これからの時代に求められる能力を年代別に考えてみました。

年代求められる能力注意点
20代AI活用力、データ理解、基礎業務の習得基礎理解不足だとAIを使いこなせない
30代業務設計力、推進力、部門横断調整忙しさで学習が後回しになりやすい
40〜50代マネジメント、変革推進、AI理解苦手意識が改革のブレーキになる
60代以上経験知の伝承、判断力、品質管理ツール操作で支援が必要になる

第3部 まとめ:AI変革を「成長のきっかけ」に

 AIは労働環境に「脅威」と「チャンス」を同時にもたらします。
淘汰される職種がある一方で新たな人材需要が急増し、企業はAI人材育成・組織戦略を整える必要があります。 
 また、企業が持続的に成長するためには、「人材」「労務管理」「財務戦略」 の3つを整備することも重要です。単なるIT導入に留まらず、人材配置や労務管理、財務戦略の見直しまで踏み込むことで、AIは「コスト」ではなく「成長の手段」へと変わります。
 AIは脅威ではなく、使い方次第で企業を大きく成長させる力を持つツールです。自社の状況に合わせて一歩ずつ取り組むことで、変化の大きい時代を乗り越えることができると思います。

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江崎充豊
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江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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