【第1部】中小企業の財務課題と支援ニーズ

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:財務



 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
中小企業の財務課題と外部協働について2部構成でお話したいと思います。

はじめに

 現在、金利上昇・円安・人手不足という三重苦が、中小企業の財務に影響を及ぼしています。企業倒産件数はコロナ前の水準を超え、保証協会の代位弁済件数も増加傾向。こうした状況下で、金融機関に求められる役割は「資金を貸す」から「経営を支える」へと変化しています。
 現役銀行員として法人融資に携わってきた経験から、このコラムでは中小企業の財務課題の整理と、金融機関や外部の専門機関との協働による解決策について考えてみます。

中小企業の財務課題

 日本総研の調査によれば、中小企業の財務状況は回復傾向にあるものの、以下のような課題が浮き彫りになっています。
・金利上昇による利払い負担の増加
 政策金利引き上げにより借入金利が上昇。変動金利借入が多い企業では、資金繰りに影響。
・ 円安による原材料コストの増加
 輸入依存度の高い業種では円安が利益を圧迫。価格転嫁が難しい企業ほど影響が大きい。
・人手不足と賃上げ圧力
 非製造業を中心に人手不足が深刻化。賃上げ要請が財務負担となり利益を圧迫。
・事業承継の停滞と後継者不在
 経営者の高齢化が進む中、承継が進まない企業が多く、財務整理等が後回しにされがち。

中小企業が「手数料を払ってでも受けたい」サービスランキング

 日本総研のレポート(2025年7月)によると、以下のサービスが中小企業から高いニーズを集めています。

順位サービス内容説明
1位ビジネスマッチング地域や業界を超えた取引先紹介、販路開拓支援。資金だけでなく“商流”をつなぐ役割への期待が高まっている。
2位支援制度の紹介・申請サポート補助金、低利融資などの制度をタイムリーに案内。
3位事業承継・M&A関連支援後継者不在の企業に対するM&A仲介や親族承継への財務整理・支援。
4位業務効率化支援(DX)会計・給与・請求業務のデジタル化支援。人手不足の対策として、クラウド会計や電子申請の導入支援が有効。
5位経営人材の紹介・育成支援CFOや後継者候補など、経営人材の紹介や育成支援。財務・人事の両面での課題解決に直結。

ランキングから見る課題の優先度と対応策

 このランキングは、単なるサービスの希望ではなく、企業が直面する課題の“優先度”を映し出しています。

  • 販路開拓(ビジネスマッチング)=売上確保が最優先
  • 制度活用(補助金・融資)=資金繰りの安定化
  • 事業承継・M&A=中長期の持続可能性の確保
  • 業務効率化=人手不足への対応
  • 人材紹介=経営体制の強化

第1部のまとめ

 これらの優先課題に対応するためには、外部との協働が不可欠です。
では、企業側はどのような準備をすれば、支援を受けやすくなるのでしょうか。
 第2部では、財務アドバイザーとしての視点から、中小企業が外部と協働するために取り組むべきポイントを整理していきます。

 マネジスタ湘南社労士事務所では財務に関する相談を承ります。
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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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