AIはどこまで人にとって代わるか ~中小企業の業務に活かすAIの可能性と限界~

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
最近AIに関する面白い記事を読んだので、今回のコラムに取り上げました。

はじめに:AIはどこまで来ているか?

 AIは業務支援ツールを超え、意思決定の一員として組織に参画する段階に入りつつあります。象徴的な事例がキリンホールディングスのAI役員の導入。
このAIは「コアメイト」と呼ばれ、財務・法務など12の専門分野に特化した仮想人格で構成。過去10年の議事録を学習し、リアルタイムで役員の発言を解析し論点を提示することで、会議の質とスピードの向上に繋がっています。
 更に役員が資料を作成する際の相談相手としても機能し、将来的に音声対話も可能になる見込みです。
このようにAIは情報処理だけでなく組織内対話や意思形成にまで踏み込んできてます。

AI活用の課題は?

 AIの導入には慎重な検討が必要です。主な課題は以下の通りです。
・判断根拠の不透明性
 AIが導き出す結論の理由が説明できない場合、意思決定の正当性が揺らぐ
・倫理・法務リスク
 個人情報の取扱や労務判断のAI活用には、法的・倫理的な配慮が不可欠
・心理的不安
 「AIに業務を奪われるのでは」という不安が現場の協力を妨げることも
・中小企業特有の「暗黙知」
 ベテラン社員の経験や空気感は、AIには読み取れない

中小企業の課題と AI活用の可能性

 中小企業の課題に対し、以下のようなAI活用が可能です。

中小企業の課題AIによる解決策留意点
人手不足・業務過多勤怠集計・給与計算の自動化最終チェックは人間が行う
労務相談の属人化よくある質問をAIチャットで対応複雑な内容は専門家へ誘導
就業規則の見直し法改正情報の自動収集・通知適用判断は専門家に任せる

AI活用時の留意点

 AIを業務に取り入れる際には、制度やルールの設計が不可欠です。
特に労務領域では、以下のような準備が求められます。
・導入前のルール制定
 AIにどこまで判断させ、どこから人間が介入するかを明文化
・社内規程の整備
 AI運用のルールを就業規則や規程に反映し、統一的な運用を可能に
・責任の所在を明確に
 AIの提案を採用するかどうかは、最終的に人間が判断する体制を維持
・従業員との対話を重視
 AI導入の目的や役割を丁寧に説明し、不安や誤解を防ぐ
・データの質を担保
 AIはインプット次第。誤った情報を学習させない工夫が必要

まとめ:AIは「代替」ではなく「共存」のパートナー

 AIは企業の業務効率化や業務領域の拡大の可能性を秘めています。
しかし、すべてを任せるのではなく人間の強みとAIの得意分野を見極め、共存する姿勢が求められます。
 特に労務領域では、AI活用のルール制定や規程整備が不可欠です。
これらは専門的な判断を要するため、専門家と相談しながら進めることがトラブル防止と制度定着の鍵となります。

 マネジスタ湘南社労士事務所は業務効率化に関する相談を承ります。
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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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