趣味とビジネスの交差点 ~サーフィン業界の財務・雇用を考える~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は以前取り上げた最低賃金について、影響や実務対応についてお話します。
はじめに:最低賃金の過去最大の引上げがもたらす意味は
2025年10月4日より、神奈川県の最低賃金は1,225円に改定されます。
また、全国加重平均は1,121円(前年比+66円)と、制度開始以来最大の引上げ幅となりました。政府が掲げる「全国平均1,500円」への道筋が現実味を帯びてきたと言えます。
この改定は単なる「時給の調整」ではなく、中小企業にとっては賃金体系そのものを見直す必要がある「構造的な転換」とも言えます。
賃金体系の見直しが必要な理由
1.賃金逆転現象の発生
最低賃金の上昇により、新入社員やパートの時給が勤続年数の長い社員と同水準、といったケースが考えられます。これを放置すると、ベテラン社員の不満や離職につながりかねません。
2. 月給への波及
最低賃金は時給だけでなく、月給制にも影響します。
例えば月給180,000円で所定労働時間が173.3時間の場合、時給換算は約1,038円となり、改定後の基準を下回るため月給の引上げが必要です。
3. 固定残業代制度の見直し
固定残業代を導入している企業では、固定残業代を除いた通常の労働時間に対する賃金(=基本給等)が最低賃金を下回っていないかの確認が必須です。
固定残業代は割増賃金の前払いであり、最低賃金の比較対象には含まれません。制度設計の不備があると、労使トラブルや法令違反につながる可能性があるため、就業規則や賃金規程の整備と制度の適法性チェックが重要です。
実務対応のステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 時給換算の確認 | 月給・日給制社員も含め、すべての従業員の時給換算額を確認 |
| 賃金規程・就業規則の改定 | 基本給・手当・残業代の支給基準を明文化し、制度の適法性を確保 |
| 影響試算とシミュレーション | 賃上げ後の人件費増加額を試算し、経営への影響を可視化 |
| 人件費対策と生産性向上 | 業務効率化・DX化・助成金活用によるコスト緩和策を検討 |
チェック、整備すべきこと
最低賃金改定により、企業は以下のような対応が必要となる可能性があります。
- 賃金規程・就業規則の見直し
- 固定残業代制度の適法性チェック
- 賃金体系の再設計(職務給・等級制度の導入など)
まとめ
最低賃金の改定は、企業にとってはコスト増加や法令違反に繋がる可能性があり、財務と労務の両面に影響を及ぼします。そのため、資金調達といった財務戦略、賃金体系や人事制度といった人事労務体制を見直すタイミングでもあります。
負担は大きいですが、それぞれを適切に見直すことで資金繰の安定化や従業員の納得感と定着率向上に繋がります。
マネジスタ湘南社労士事務所では人事、労務に関する相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



