【最終回】銀行員から見た「お金を貸したい企業」の特徴 ~信用力を活かす資金調達戦略~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は銀行員経験を元に「お金を貸したい企業」についてお話します。
はじめに
企業が銀行から資金を調達する際、評価されるのは決算書の数字だけではありません。
銀行員は、企業の「経営姿勢」や「雰囲気」、そして「将来性」など色々な事を見ています。
銀行員の視点を図解で整理し、それぞれの視点について説明します。
銀行員の6つ視点
| 銀行員の視点 | 内容 |
|---|---|
| 1.財務内容 | 決算書、CF・利益率などの指標 |
| 2.経営姿勢 | 数字を把握し、論理的に語れるか |
| 3.経営ビジョン | 資金使途の具体性や中長期的な展望 |
| 4.制度の整備 | ガバナンスの仕組み |
| 5.会社の雰囲気 | 事務所・工場の整理整頓や挨拶など |
| 6.取引先や銀行との関係性 | 面談・報告・信頼構築の姿勢 |
では、それぞれの視点について説明していきます。
1.財務内容は「入口」にすぎない
決算書は企業の過去の実績を示すものにすぎません。
銀行員が知りたいのは、その数字をどう読み、どう未来につなげるかという企業の方針と経営者の考えです。
2. 経営者の姿勢が信用を生む
銀行員は「この会社(経営者)は信頼できるか」を見ています。
重要なのは、数字を把握し、ビジョンを論理的に語れる力です。
- 感覚的な経営ではなく、「根拠ある意思決定」をしているか
- 経営者が「数字を使って未来を語れる」か
3.経営ビジョンが「資金の意味」を決める
資金調達は、「資金不足時のつなぎ」はなく、「未来の成長に向けた投資」です。。
規模の大小ではなく、「未来(経営ビジョン)を語れるか」が重要です。
- 資金使途が具体的で、中長期のビジョンが明確か
- 人材投資・DX・設備投資など、未来を見据えた投資をしているか
4. 制度の整備が企業の持続性を支える
制度の整備は、企業の内部統制の裏付けです。
中小企業でも、制度の整備は信用力の土台になります。
- 労務管理・ガバナンスの仕組みが整っているか
- 社内ルールが明文化され、運用されているか
5. 会社の雰囲気は企業を表す「鏡」
銀行員は訪問時に、現場の雰囲気や従業員の応対を見ています。
会社の雰囲気は、企業やマネジメントの質を映す鏡です。
- 挨拶がない、応対が雑な企業は、組織統制に疑問を持たれる
- 整理整頓された事務所や工場は、経営の姿勢を物語る
6.取引先や銀行との関係は「信頼の積み上げ」
銀行員は、日々のやり取りの中で企業の姿勢を見ています。
- 面談時の対応、情報開示姿勢に問題はないか
- 取引先や銀行との関係は良好か
おわりに:資金調達の相談は「交渉」ではなく「信頼構築」
銀行員が「貸したい」と思う企業は、単に財務が健全な企業ではありません。
むしろ、数字の背景にある経営の方針とビジョンを語れる企業こそが、信用を得ます。
そのためには、経営者自身が数字に明るく、未来を語れる事が必要になります。
決算書は過去の実績でしかありません。重要なのは、今度どのように事業を展開していくか、そのためにどのように資産(資金)を活用するか、です。
そして、資金調達の相談は銀行との「交渉」ではなく、お互いの「信頼構築」です。
その信頼は、数字の裏にある「人」と「組織の質」から生まれます。
銀行員の視点を知ることで、企業は「信用力の設計図」を描くことができると思います。
次回は、企業がその信用力をどう設計し、実装していくか―その具体的な打ち手を紐解いていきたいと思います。
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