「トモイクプロジェクト」 ~共に育てる社会へ

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:労務・人事管理


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は共働き・共育て推進事業として開始した「共育(トモイク)プロジェクト」についてお話します。

育児を取り巻く現状と男性の育児休業取得率

 近年、育児と仕事の両立をめぐる社会的関心は高まりを見せています。
特に男性の育児参加に関しては法改正や啓発活動の成果もあり、2023年度の男性の育児休業取得率は30.1%と過去最高を記録しました。
 しかし、女性の取得率(84.1%)と比べると依然として大きな開きがあり、取得期間の短さや職場の理解不足といった課題も残っています。
 また、共働き世帯の増加に伴い、育児・家事の負担が一方に偏る「ワンオペ育児」も深刻な問題です。こうした背景のもと、育児を「家庭の問題」から「社会全体の課題」へと捉え直す動きが加速しています。

育児支援における課題

  • 長時間労働:男性が育児に関わる時間を確保しづらい
  • 職場風土:育休取得がキャリアに不利と捉えられる風潮
  • 制度と実態の乖離:制度は整っていても、利用しづらい現場の空気

 これらの課題は、単なる個人の努力では解決できません。企業文化の変革と制度運用の実効性向上が求められています。

「トモイクプロジェクト」の概要

 2025年7月、厚生労働省は「イクメンプロジェクト」の後継として「共育(トモイク)プロジェクト」を開始しました。このプロジェクトは、以下の3つの柱を掲げています。
・ワンオペの見直し:家庭・職場の両面から育児の分担を見直す
・企業へのアプローチ強化:職場風土改革や制度活用の促進
・普及活動の強化:育児参加の意義を伝える
 企業向けのセミナーや「企業版両親学級」の取り組み促進、若年層への意識調査など、実践的な取り組みが盛り込まれています。

企業が留意すべきポイント

 「トモイクプロジェクト」の推進にあたり、企業が留意すべき点は以下の通りです。

項目留意点やるべきこと
育児休業制度の整備法改正への対応、就業規則の見直しが必要制度設計・規程整備・労使協定の作成
職場風土の改善育休取得を後押しする環境づくり管理職研修・ハラスメント防止策の策定
情報発信と啓発社内広報、取得事例の共有社内研修・相談窓口の設置
労務管理の実務対応代替要員の確保、復職支援人材確保、就業規則の整備

 特に、2025年4月からは従業員300人超の企業に男性育休取得率の公表が義務化されるなど、企業の対応は待ったなしです。

まとめ:「共に育てる」未来へ

「トモイクプロジェクト」は、単なる育児支援ではなく、働き方改革・ダイバーシティ推進・人的資本経営といった企業経営の根幹にも関わるテーマです。「共に育てる」社会の実現に向けて、企業は対策が求められています。

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江崎充豊
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江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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