在宅の再設計 ~ポストコロナ時代の働き方を見直す~

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:労務・人事管理


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い普及した在宅勤務。しかし、年月が経った今では「働き方の再設計」としての視点が求められています。
 このコラムでは、海外動向と日本の実情、制度設計の観点などから「これからの在宅勤務」についてお話したいと思います。

在宅勤務の現状

 近年、日本に限らず世界で「ハイブリッド勤務」がスタンダードになりつつあります。特にアメリカやイギリス、オーストラリアなどでは週2~3日の在宅勤務とオフィス出社を組み合わせる働き方が主流です。
 日本においては、コロナ禍のピーク時には多くの企業がテレワークを導入しましたが、現在は在宅実施率は15%程度にとどまっており、再び出社に戻る企業も少なくありません。

 在宅勤務のメリットやデメリットをや業種別在宅状況をまとめます。

在宅勤務のメリットとデメリット

内容メリットデメリット
生産性通勤ストレス軽減、集中力向上コミュニケーション不足
コスト通勤費・オフィス維持費の削減自宅の光熱費・通信費の増加
人材確保育児・介護中の人材や地方人材の活用現場職との格差・不公平感
制度運用柔軟な働き方の実現勤怠・評価の見える化が課題

現場主体の業種の在宅採用状況

業種導入傾向在宅可能な職種
製造業限定的設計、研究開発、管理部門
サービス業一部導入カスタマーサポート、EC運営、経理
医療介護極めて限定的事務職、ケアマネージャー、相談員
建設業試行的導入積算、設計、総務・管理部門

 現場主体の業種でも、本社機能や支援業務は在宅活用の余地があります。

最近のトレンドと企業事例

 最近の在宅のトレンドまとめました。導入企業例は一例であり、業種全てが導入している訳ではありません。

カテゴリ概要導入企業例
フルリモート型出社を原則不要とし在宅勤務が基本。全国採用や地方移住も可能食品、IT系
ハイブリッド型週2~3日出社+在宅勤務を組み合わせる柔軟な勤務形態通信系、自動車、銀行
自由選択型(働き方宣言型)社員が出社・在宅・時間帯などを自ら選択情報通信、シェアオフィス
ライフイベント対応型育児・介護・治療などの事情に応じて在宅勤務を選択可能化粧品、保険、メーカー
地方・海外人材活用型地方在住者や海外在住者を在宅勤務で雇用し採用の多様化を実現情報通信、ECサイト
オフィス併用型(コワーキング活用)自宅+サテライトオフィスやコワーキングスペースを併用人材、不動産

在宅勤務制度導入のポイント

1.業務の棚卸と適否の明確化
 「誰が」「どの業務を」「どこでできるか」を明確化。就業規則等への反映も必要。
2.人事評価制度の見直し
 在宅勤務に対応した、成果・プロセス両面からの公正な評価制度設計。
3.勤怠・労働時間管理の徹底
 ICTツールを用いた労働時間の“見える化”と適正な管理体制づくり。
4.安全配慮義務と情報セキュリティの配慮
 自宅労災への対応ルールや、クラウド環境のセキュリティ整備が必要。
5.補助金、助成金の活用
 人材確保等支援助成金など、制度導入に伴うコストの軽減策を有効活用。

まとめ ~制度から設計へ~

 テレワークは単なる「制度」ではなく、働き方そのものを再設計する時代に入りました。
企業にとっては人材確保・生産性向上などの課題を解決する手段にもなり、組織と働く人の双方の未来を明るく照らす起点となり得ます。
 企業の「働き方改革」が真の意味で機能するためには現場に即した制度設計が欠かせず、そのためには就業規則や人事評価制度の見直しなどが必要となります。
 在宅の導入、もしくは再設計をお考えの企業は専門家にご相談されてはいかがでしょうか。

 マネジスタ湘南社労士事務所は就業規則や評価制度の見直しなどを承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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