「企業価値担保」は使えるのか?~制度の限界と中小企業が備えるべきこと~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回はキャッシュフロー経営についてお話します。
「黒字倒産」という言葉をご存じでしょうか。
決算上は利益が出ているのに、手元に現金がなく資金繰りが行き詰まる・・・。
そういう経験をされた経営者の方もいらっしゃると思います。
企業は赤字だから倒産するわけではありません。「お金が回らない」から倒産します。
そんな事態を防ぐために、「キャッシュフロー経営」が重要となります。
キャッシュフロー経営とは?
キャッシュフロー経営とは、キャッシュフロー(現金の収支)に着目した経営管理です。売掛金回収や在庫の圧縮、仕入債務の見直しなど、資金の流れを可視化し実際に使えるお金をどう増やすかを考える経営手法です。
指標で読み解くキャッシュの流れ:CCCとは?
キャッシュフロー改善の鍵となるのが「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」です。これは、商品を仕入れてから販売し、現金を回収するまでにかかる日数のことで、以下の式で表されます。
CCC = 売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 − 仕入債務回転期間
この期間が短いほど現金化のスピードが速く、資金繰りに余裕が生まれます。
CCC改善の取り組み例
CCCは、以下のような取り組みにより改善します。
・売上債権回転期間の短縮:割引やファクタリングにより回収日数を60日→45日に短縮
・棚卸資産の圧縮:予測の精度向上と在庫水準見直しにより在庫回転率を改善
・仕入債務の見直し:支払条件を交渉し、支払サイトを30日→45日に延長
上記のケースだと、CCCは30日+α(在庫圧縮期間)の短縮となり、月商の1か月+αのキャッシュを創出することになります。
キャッシュフロー経営に必要な書類とは?
キャッシュフロー経営を実践するには、以下の書類の整備が必要です。
・資金繰り表:将来の入出金を予測し、資金ショートを未然に防ぐ
・キャッシュフロー計算書:営業・投資・財務活動ごとのCFを把握する財務三表の一つ
・試算表・売掛金・買掛金台帳:資金の出入りや各水準を把握するための基礎資料
これらを整備することで、現状を把握できるとともに、資金調達の時も有利に働くケースがあります。
まとめ:資金の流れに強い企業こそ、変化に強い
キャッシュフロー経営は、決して大企業だけの取り組みではありません。むしろ中堅中小企業にこそ必要な取り組みです。
日々の資金の流れを見える化し、少しでも早く現金を確保する「地に足の着いた経営」こそ、企業の安定性と健全性を高めていきます。
その第一歩として、今の「CCC」や資金繰りの状態を可視化し、改善余地を見出すことが大切です。そして、単に数値を眺めるだけでなく、それを「戦略的にどう生かすか」こそが経営者の腕の見せどころです。
「うちの資金繰りは大丈夫か」「キャッシュフロー改善は何から始めれば?」と想ったら、財務の視点から経営をサポートできる専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
マネジスタ湘南社労士事務所は財務に関する相談も承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



