趣味とビジネスの交差点 ~サーフィン業界の財務・雇用を考える~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
数年前に着物を仕立てたばかりの着物初級者です。
今回はその着物業界についてビジネスの観点からお話したいと思います。
着物業界の動向
着物はかつて日常着の一部でしたが、ライフスタイルの変化により現在では成人式や式典などの「非日常の衣服」としての位置づけが定着しました。
そのため、呉服小売市場は2002年の約3,000億円から2020年は約1,900億円と長期的に縮小傾向でした。しかし、イベントや日常的に着用できる「カジュアルきもの」販売などにより、2023年は約2,240億円と増加しました。
最近は若年層によるレンタル需要拡大や訪日外国人の観光着物体験など、従来と異なる需要層が市場を下支えしており、構造転換の過渡期にあるかもしれません。
着物業界の課題
着物業界の課題として、自身が感じたことなどは以下です。
- 日常利用の難しさ:今の生活スタイルからハレの日以外に着る文化への回帰が困難
- 価格と敷居の高さ:洋服に比べ高価である上、心理的な敷居の高さもネック
- 価格の不透明性:表示価格がない、通常とセールの価格差など適正価格が不透明
- 後継者不足:職人の高齢化と若年層従事者の減少により技術の継承が困難に
- 世代間の継承が不十分:親から子へと、家庭内で着物と慣習が受け継がれない
着物業界の財務面の課題と戦略
財務課題:業界特性や商慣習が財務に影響
- 手形取引の慣行により資金繰りを圧迫(下請法改正により解消の可能性あり)
- 委託販売では売れ残りリスクと在庫負担が製造側に集中
- 季節偏重型業種(成人式・卒業式等)のため収益状況が不安定
財務戦略:キャッシュフロー改善と自律経営に向けた取り組み
- 早期決済チャネルの強化:レンタル・EC販売等拡充による回収サイクルの短期化
- 早期資金化と会計システム導入:資金調達と資金管理のスピード・透明性を向上
- SPA(製造小売)システム導入:製造~販売まで自社一元管理、在庫回転率と利益率を最適
着物業界の雇用面の課題と戦略
雇用課題:技術の継承と働く魅力が鍵
- 職人の高齢化:若年層職人がおらず技術の継承が困難に
- 若手人材の低い定着率:業界見通しから継続的な就労に不安を感じる人も
- 正社員中心の雇用構造:柔軟性を損ない新規採用のハードルに
雇用戦略:文化価値を働きがいに変える仕組み作り
- 多様な雇用形態:副業・委託・フリーランス等を組み合わせ担い手の間口を広げる
- 職人育成と教育連携:地域の学校と連携し、文化の承継者としての職人育成を促進
- 地域との連携:観光・まちづくりと連携し、雇用と地域資源の活用を図る
- SNSによる魅力発信:着物の美しさや職人のかっこよさを映像化、若年層への共感を促す
まとめ:伝統産業の未来のために
着物は単なる衣服ではなく、季節・世代・美意識などを体現する「文化」そのものです。
だからこそ、文化としての価値を守りつつビジネスとしての持続性を確保していかなければいけません。そのためには、変えてはいけないものは変えないポリシーと、変えるべきものは変える柔軟性が必要になります。
マネジスタ湘南社労士事務所は財務戦略、雇用戦略について相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



