銀行の常識は世間の非常識? ~【第2部】銀行業務のトレンドと今後の役割~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回は2025年問題を中小企業の事業承継の視点でお話したいと思います。
2025年問題とは
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となる「超高齢化社会」になると言われています。
2025年問題の最大の課題といわれているのが、労働力人口の減少です。高齢化社会の進行によってあらゆる業種で人材不足になり、人材確保の激化が予想されます。
また、それに伴って顕在化するのが事業承継の問題です。中小企業庁によると、70歳以上の経営者は約245万人に達し、そのうち127万社が後継者不在とされています。このまま廃業が進めば、約650万人の雇用喪失と22兆円のGDP損失が見込まれています。
事業承継が進まないのは、単に「後継者がいない」という理由だけではなく、財務・心理・関係性など複合的な要素が絡み合っています。
なぜ後継者事業承継が進まないのか
財務以外の視点
多くの企業が事業承継の必要性を感じながらも進められない背景には、財務面以外では以下のような理由が挙げられます。
後継者不在・選定の難しさ
子ども世代が継がない・継げない、もしくは適任者が見つからない
経営者の心理的抵抗
「まだ自分がやれる」など、引退や権限移譲への抵抗
家族間の感情的な対立
相続・資産分配を巡る対立で承継対策が進まない
事業の将来性の不安
業界構造の変化やデジタル化に対応できていない事業への継承意欲の低下
財務の視点
事業承継には財務面での課題がネックになるケースもあります。
- 自社株評価が高く、承継による資金負担が大きい
- 債務に対する経営者保証への対応
- 適切な企業価値評価が困難
事業承継やM&Aに不可欠な企業価値の算出
事業承継やM&Aを検討するうえで欠かせないのが、会社の「価値」を知ることです。企業価値の主な算出方法は以下です。
インカム・アプローチ将来の利益などから企業価値を算出
(例)DCF法(Discounted Cash Flow):将来のキャッシュフローを現在価値に割引いて算出
マーケット・アプローチ(市場比較)類似企業を参考に企業価値を評価
(例)マルチプル法:類似上場企業の評価倍率を元に、利益や純資産等の数値を掛け合わせる
アセット・アプローチ(資産評価)純資産で企業価値を評価
(例)時価純資産法:資産、負債を時価評価し純資産を算出
これらは単独ではなく、複数のアプローチを併用し総合的に企業価値を算出します。
財務面での事業承継対策
財務の「見える化」と戦略的対応が、スムーズな承継の鍵を握ります。
1.財務デューデリジェンスの実施
財務諸表だけでなく、キャッシュフロー・債務・在庫・取引慣行など精査し企業価値を透明化
2.経営者保証の見直し
「経営者保証に関するガイドライン」を活用し、後継者が引き受けやすい形に再構築
3.事業承継税制の活用
株式承継にかかる相続・贈与税を猶予できる特例制度を積極的に活用
4.所有と経営の分離
経営は後継者、株式は親族やファンド保有など、役割を分担する体制づくりも選択肢の一つ
まとめ
中小企業の事業承継は、単なる「跡継ぎ探し」ではありません。
経営者や従業員などの「人の想い」、方針やポリシーといった「会社の想い」、財務評価による「会社の価値」、いずれにも向き合うプロセスです。非常に難しいですが、経営者の決断ひとつで企業は次の世代へ大きく舵を切ることができる可能性があります。
お悩みの方は少しずつでも考え始めてみてはいかがでしょうか。
マネジスタ湘南社労士事務所では財務や事業承継に関する相談も承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



