中小企業のテレワーク戦略 ~課題と対策を解説~

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:労務・人事管理


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
今回はテレワークについてお話したいと思います。

テレワークの現状と最近のトレンド
~テレワーク定着と出社回帰の動き~

 コロナ禍を機に急速に普及したテレワークですが、今は多くの企業でオフィス出社と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」が主流となっています。
 パーソル総合研究所の調査によると、正社員のテレワーク実施率はコロナ禍をピークに減少傾向が続いていましたが、2024年は若干増加しました。ただ、従業員1万人以上の企業ではテレワーク実施率が38.2%(前年比+2.8%)に対し、従業員100人未満の企業では13.2%(+0.7%)と中小企業は大企業に比べ低い水準にあります。

 テレワークの導入率は業種によって異なります。
導入率が高い業種:情報報通信業(72.8%)、学術研究・専門・技術サービス業(54.5%)
導入率が低い業種:医療・福祉(5.8%)、宿泊業・飲食サービス業(6.3%)
 また、製造業や建設業ではバックオフィス業務を除くと導入率は低いですが、設計業務やプロジェクト管理など一部の業務ではテレワークが活用されています。

中小企業が直面する課題

1. コミュニケーションの希薄化
 テレワークでは社員間の意思疎通が難しくなり、情報共有やチームワークに支障が出る場合があります。
 特に若手社員のメンタル面への影響が指摘されており、オンラインでの定期的なコミュニケーションが求められています。
2. 労務管理と評価の難しさ
 在宅勤務中の労働時間の管理や仕事の把握が難しく、適切なマネジメント手法が必要です。
また、部下の働きぶりが見えにくくなるため、仕事のプロセスや成果に対する上司の評価の公平性を保つのが難しくなります。
3.インフラとセキュリティ
 テレワークに必要なパソコン・ネット環境の整備や、情報セキュリティ対策に不安を感じる企業も少なくありません。
 特に中小企業ではIT専門人材が乏しく、環境構築が課題となる場合があります。
4. 企業文化・風土の問題
 対面でのやりとりを重視する従来の企業文化の中で、「テレワーク可能な業務がない」といった思い込みや、経営層の理解不足が導入のブレーキになるケースも指摘されています。

中小企業が取るべき対策

1. コミュニケーションの強化
・オンラインミーティングの定期開催:週次・月次でチームの進捗確認を実施
・ビジネスチャットの活用:Teamsなどを活用し、気軽なコミュニケーションを促進
2. 労務管理の改善
・勤怠管理ツールの導入:出退勤記録をデジタル化し、労働時間を適切に管理
・成果ベースの評価制度の導入:業務プロセスではなく成果を重視した評価基準を設定
3. ICT環境の整備
・クラウドツールの活用:Microsoft 365などを活用し、データ共有を円滑化
・セキュリティ対策の強化:VPN導入や情報漏洩防止策を講じる
4. 企業文化の変革
・テレワークのメリットを共有:生産性向上やワークライフバランスを経営層に理解してもらう
・ハイブリッドワーク推進:出社と在宅勤務を組み合わせた柔軟な働き方を導入

まとめ

 テレワークは定着しつつありますが、企業ごとに導入率や課題は異なります。特に中小企業では、コミュニケーション不足や労務管理の難しさ、ICT環境の整備が課題となっています。
 企業はこれらの課題に対応するため、適切なツールの導入や評価制度の見直し、ハイブリッドワークの推進を進めることが重要です。

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江崎充豊
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江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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