平成27(2015)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:詩の読解

みなさん、こんにちは。

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。

今回は、「平成27(2015)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。

題名は「やさしい言葉」(石垣りん)です。

やさしい言葉


【問1】


(解説)

この設問は、線部1の比喩的表現を抽象的に言いかえなさい、という問題です。

そして、答え方は、「〜という気持ち」にします。

1〜2行目で、「私」は「祝い」のときに「ひとかかえの花束」をもらいます。
「ひとかかえ」の意味は、ひろげた両手で抱えられるほどの大きさ、です。

そして、3行目で、「私」は「独り占めする欲の深さ」を感じています。
つまり、「私」は「罪悪感」を感じています(解説文5〜6行目)。
「罪悪感」とは、自分がした行いに対して、罪の意識をいただく感情のことです。

このときの感情を一言で言うと「恥ずかしい気持ち」であろうかと思います。


(解答例)1行20字程度

自分にはもったいない扱いで恥ずかしい気持ち。(22字)



【問2】


(解説)

この設問の意味がやや難しいです。

(問題文)は、
線部2「大きい目をありったけ見ひらいて」とは、何をどのように思う気持ちを表したものですか、答えなさい。
となっています。

これを言いかえると、

「大きい目をありったけ見ひらいて」とは、
⑴ 何について、
⑵ どんな気持ちを表したものですか、
答えなさい。

ということになります。

まず、⑴についてですが、これは、5〜8行目の「私」の行動のことだと考えられます。
これを、簡潔に言いかえると「『私』が謙遜したこと」になります。

次に⑵ですが、13行目に書かれています。
これもまた、言いかえると「『花束』をそのまま受け取ることをすすめている」となります。

これらを踏まえ、解答を作成すると以下になります。


(解答例)2行40字程度

「私」が謙遜したことに驚き、「花束」をそのまま受け取ることをすすめる気持ち。(38字)



【問3】


(解説)

この設問を言いかえると、
「『白い花』(線部3)をもらうのは、いつのことですか」
となります。

まず、「白い花」のイメージですが、以下の5つがあります。

⑴ 清らかさ  ⑵ 静けさ  ⑶ 別れ、哀しみ  ⑷ 神聖さ、尊さ  ⑸ はかなさ、一瞬の美

この線部3の言葉は、「私より年若い女性詩人」から「私」に対して言っています。
このことから、「私」は高齢と考えられます。

よって、「白い花」のイメージは、⑶の別れでないかと思われます。

つまり、「こんど」とは、「私」が亡くなるときと考えられます。

ちなみに、日本文化では、白い花は葬儀などでもよく使われます。


(解答例)1行20字程度

「私」が亡くなるとき。(11字)



【問4】


(解説)

この設問は、線部4のときの「私」の気持ちを表現した選択肢を選びなさい、と言うことです。

選択肢を見る前に、詩の13〜14行目に注目します。

「みんなとっておきなさいよ / こんどもらうのは白い花だよ」

この言葉は女性詩人(大学教授)です。

この部分のは、解説文(14行目〜最後)には下のように書かれています。

「外から見たら、〜という意味だったのです。」

つまり、女性詩人が言った言葉は、「私」をいじめているように感じる言葉なのですが、「真実」だったため「私」にとっては「やさしい言葉」になったということです。

そのため、「私」は「赤い花」を受け入れることができた、ということになります。

このことから、解答は「ア」となります。

他の選択肢も見ていきましょう!

「イ」「エ」「オ」:読点までの前半部分が「×」です。

「ウ」:このようなことはまったく書かれていないため、「×」。


(模解)

「ア」



【問5】


(解説)

この設問は、「解説文をふまえて」と書かれているので、解説文を見てみます。

「石垣りんのような人」を探るにあたり、次の言葉は外すことはできません。

それは、解説文7行目の「謙遜」と16行目の「真実」です。

解説文7〜8行目に「謙遜もほどほどにねと、ちょっと意地悪を言いたくなるような場面でもあります」と書かれています。

ここから、「石垣りん」はとても「謙遜」の気持ちを持っていることがわかります。

そして、15行目〜最後までに「この『私』を 〜 『真実』という意味だったのです」と書かれています。

このことから、「石垣りん」にとって「真実」が「やさしい」ということになることがわかります。

つまり、たとえきつい言葉であっても、それが正しいことであれば、やさしい言葉になる、ということです。

この2点をふまえ、解答を作成します。


(解答例)2行40字程度

謙虚な気持ちを持ち続け、人の言葉の真実を謙虚に受け止めることができる人。(36字)



【問6】


(解説)

この設問は、解説文の14行目〜最後までを、説明文「『女性詩人』の言葉は、
 〜 むしろ『Y』。」の『X』『Y』に言葉を入れて言いかえなさい、という問題です。



【問6・X】


(解説)

「X」に入る言葉は、解説文15行目の「この『私』をいじめているような言葉」です。

それは、7行目の「意地悪」が入ると考えられます。



(模解)5字以内

意地悪(3字)



【問6・Y】


(解説)

まずは、「むしろ」の言葉の意味ですが、

「Aよりも、反対にBの方が適している、望ましい、正しい」
と感じるときに使う言葉です。

1つ例文をあげると、

例)失敗して落ち込むどころか、むしろやる気が出た。

この例文をわかりやすく言いかえると、
普通なら落ち込むはずだけれど、反対にやる気が出た。
ということになります。

つまり、予想や一般的な考えと反対のことを言うときに使います。

説明文の2つ目の読点までを前半とするとします。
前半は、「ー(マイナス)」的な文章です。
2つ目の読点の直前は「が(逆説)」があるため、後半は「+(プラス)」的な文章になると考えられます。

このことから、「ア」と「イ」は「×」とわかります。

また、「エ」「オ」はそのようなことは全く書かれていないため、「×」。


(模解)

「ウ」



どうでしたから、かなり比喩的表現を抽象的表現に言いかえるのが、難しかったのではないでしょうか。

何ごとも慣れが必要です。
過去問をしっかり説いて慣れていきましょう!

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篠田啓彦
専門家

篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方にお子さまとの接し方等をアドバイスさせていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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