「平成30(2018)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説
みなさん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。
今回は、「平成27(2015)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。
題名は「やさしい言葉」(石垣りん)です。
【問1】
(解説)
この設問は、線部1の比喩的表現を抽象的に言いかえなさい、という問題です。
そして、答え方は、「〜という気持ち」にします。
1〜2行目で、「私」は「祝い」のときに「ひとかかえの花束」をもらいます。
「ひとかかえ」の意味は、ひろげた両手で抱えられるほどの大きさ、です。
そして、3行目で、「私」は「独り占めする欲の深さ」を感じています。
つまり、「私」は「罪悪感」を感じています(解説文5〜6行目)。
「罪悪感」とは、自分がした行いに対して、罪の意識をいただく感情のことです。
このときの感情を一言で言うと「恥ずかしい気持ち」であろうかと思います。
(解答例)1行20字程度
自分にはもったいない扱いで恥ずかしい気持ち。(22字)
【問2】
(解説)
この設問の意味がやや難しいです。
(問題文)は、
線部2「大きい目をありったけ見ひらいて」とは、何をどのように思う気持ちを表したものですか、答えなさい。
となっています。
これを言いかえると、
「大きい目をありったけ見ひらいて」とは、
⑴ 何について、
⑵ どんな気持ちを表したものですか、
答えなさい。
ということになります。
まず、⑴についてですが、これは、5〜8行目の「私」の行動のことだと考えられます。
これを、簡潔に言いかえると「『私』が謙遜したこと」になります。
次に⑵ですが、13行目に書かれています。
これもまた、言いかえると「『花束』をそのまま受け取ることをすすめている」となります。
これらを踏まえ、解答を作成すると以下になります。
(解答例)2行40字程度
「私」が謙遜したことに驚き、「花束」をそのまま受け取ることをすすめる気持ち。(38字)
【問3】
(解説)
この設問を言いかえると、
「『白い花』(線部3)をもらうのは、いつのことですか」
となります。
まず、「白い花」のイメージですが、以下の5つがあります。
⑴ 清らかさ ⑵ 静けさ ⑶ 別れ、哀しみ ⑷ 神聖さ、尊さ ⑸ はかなさ、一瞬の美
この線部3の言葉は、「私より年若い女性詩人」から「私」に対して言っています。
このことから、「私」は高齢と考えられます。
よって、「白い花」のイメージは、⑶の別れでないかと思われます。
つまり、「こんど」とは、「私」が亡くなるときと考えられます。
ちなみに、日本文化では、白い花は葬儀などでもよく使われます。
(解答例)1行20字程度
「私」が亡くなるとき。(11字)
【問4】
(解説)
この設問は、線部4のときの「私」の気持ちを表現した選択肢を選びなさい、と言うことです。
選択肢を見る前に、詩の13〜14行目に注目します。
「みんなとっておきなさいよ / こんどもらうのは白い花だよ」
この言葉は女性詩人(大学教授)です。
この部分のは、解説文(14行目〜最後)には下のように書かれています。
「外から見たら、〜という意味だったのです。」
つまり、女性詩人が言った言葉は、「私」をいじめているように感じる言葉なのですが、「真実」だったため「私」にとっては「やさしい言葉」になったということです。
そのため、「私」は「赤い花」を受け入れることができた、ということになります。
このことから、解答は「ア」となります。
他の選択肢も見ていきましょう!
「イ」「エ」「オ」:読点までの前半部分が「×」です。
「ウ」:このようなことはまったく書かれていないため、「×」。
(模解)
「ア」
【問5】
(解説)
この設問は、「解説文をふまえて」と書かれているので、解説文を見てみます。
「石垣りんのような人」を探るにあたり、次の言葉は外すことはできません。
それは、解説文7行目の「謙遜」と16行目の「真実」です。
解説文7〜8行目に「謙遜もほどほどにねと、ちょっと意地悪を言いたくなるような場面でもあります」と書かれています。
ここから、「石垣りん」はとても「謙遜」の気持ちを持っていることがわかります。
そして、15行目〜最後までに「この『私』を 〜 『真実』という意味だったのです」と書かれています。
このことから、「石垣りん」にとって「真実」が「やさしい」ということになることがわかります。
つまり、たとえきつい言葉であっても、それが正しいことであれば、やさしい言葉になる、ということです。
この2点をふまえ、解答を作成します。
(解答例)2行40字程度
謙虚な気持ちを持ち続け、人の言葉の真実を謙虚に受け止めることができる人。(36字)
【問6】
(解説)
この設問は、解説文の14行目〜最後までを、説明文「『女性詩人』の言葉は、
〜 むしろ『Y』。」の『X』『Y』に言葉を入れて言いかえなさい、という問題です。
【問6・X】
(解説)
「X」に入る言葉は、解説文15行目の「この『私』をいじめているような言葉」です。
それは、7行目の「意地悪」が入ると考えられます。
(模解)5字以内
意地悪(3字)
【問6・Y】
(解説)
まずは、「むしろ」の言葉の意味ですが、
「Aよりも、反対にBの方が適している、望ましい、正しい」
と感じるときに使う言葉です。
1つ例文をあげると、
例)失敗して落ち込むどころか、むしろやる気が出た。
この例文をわかりやすく言いかえると、
普通なら落ち込むはずだけれど、反対にやる気が出た。
ということになります。
つまり、予想や一般的な考えと反対のことを言うときに使います。
説明文の2つ目の読点までを前半とするとします。
前半は、「ー(マイナス)」的な文章です。
2つ目の読点の直前は「が(逆説)」があるため、後半は「+(プラス)」的な文章になると考えられます。
このことから、「ア」と「イ」は「×」とわかります。
また、「エ」「オ」はそのようなことは全く書かれていないため、「×」。
(模解)
「ウ」
どうでしたから、かなり比喩的表現を抽象的表現に言いかえるのが、難しかったのではないでしょうか。
何ごとも慣れが必要です。
過去問をしっかり説いて慣れていきましょう!



