事業承継のポイント③事業承継税制の使い方
こんにちは中小企業診断士の鈴木崇史です。
前回(前回内容はこちら)は天才軍師として有名な黒田官兵衛が現代に通じる事業承継の仕組みを採用していたことをご紹介しました。
その名は異見会です。意見ではありません。
この会の名前はあまり広く知られてはいません。
この名を世に出したのは童門冬二著『情の管理・知の管理』です。
この会は黒田家の意思決定会議(現在の取締役会)です。出席者は先代藩主(実権者)・藩主・その他幹部です。そして重要なルールが先代藩主・藩主と違う意見を述べることです。
目的は諸説あります。
①人の話を聞く前に判断してしまう自身(先代藩主創業者の黒田官兵衛)への戒め
②気性の激しい長政(現藩主・就任時は20代)に我慢を教えるため
と言われています。
確実なことは黒田官兵衛から長政への代替わりの過程で始まったということです。これにより、官兵衛・長政・家臣のそれぞれの物の見方の違いが現れ、藩政を複眼的に見ることにつながったのです。
これこそ、現代の日本に必要な事業承継・経営承継のシステムです。
そしてこの異見会の参加者の構成は現代、事業承継を行おうとしている中小企業の幹部の構成とよく似ています。
天才軍師・藩祖黒田官兵衛は、現代のパワフルな創業社長に似ています。
織田家の人質として豊臣秀吉夫人に養育された黒田長政は、東京の大学や大手企業で修業して実家の企業に中途入社した後継者によく似ています。
黒田官兵衛を創業期から支えた幹部陣は、後継者よりも経験豊富な経営幹部によく似ています。
では、異見会のエッセンスを具体的にどう生かすことができるでしょうか。
官兵衛から長政への承継のポイントを整理します。
①15年かけての経営権のひきつぎ
②異見会を活用
③長政に実績を積ませる(親子が別の戦場でそれぞれ戦う)
ここまでの内容を踏まえて以下のように提言いたします。
令和の異見会を導入しましょう。
これは10年計画の意思決定の訓練であり、自社の見える化です。
それぞれの会社に合った異見会が多く発足することを祈念します。いつでもご相談下さい。