事業承継のポイント③事業承継税制の使い方
こんにちは中小企業診断士の鈴木崇史です。
前回までは事業承継(最近は経営承継との言い方も・・)において
後継者候補が会社を引き継ぐ気になるためには
「経営者保証」の問題をクリアする必要があることをお伝えいたしました。
この問題がクリアされないことで引継を拒否される事例が
全体の60%もあるというのは・・その重要さがわかります。
今回は無事に後継者候補(多くの場合はご子息)が何に困って苦労されるのか
そこをお伝えするとともに、その解決策をご紹介いたします。
企業において会社の重要情報はどこにあるでしょうか?
大企業であれば、書面やサーバー上に格納され、閲覧権限に基づいて開示されます。
しかし、多くの中小企業ではそのような整備はなされておりません。
では重要情報はどこにあるのか・・・
誰かの頭の中です。
多くの場合は社長の頭の中です。
ですので後継者は現場の把握に時間がかかります。
情報がしっかりと管理されていれば、
顧客、商品、人材、市場ニーズ・・・様々情報を短期間で把握し、腕を振るうことができます。
社長の頭の中にある情報をどのように後継者に引き継ぐのか、それが鍵になります。
それよりももっとやっかいなことは何か・・・
それは重要情報が社長ではなく、ベテラン社員のなかに蓄積されているケースです。
例えは、長年社長と二人三脚で頑張ってきた営業部長がいた場合
後継者は顧客のことはこの営業部長に聞くしかありません。
もしかしたら直接コンタクトをとることも難しいかもしれません。
ここで、一般的に言われる方法はこの営業部長にも社長と一緒に引退してもらうことです。
しかし、社長と同年代ならまだしも年齢が少しでも若かった場合、引退に応じてくれるかはわかりません。
以前お付き合いした企業でも社長の65歳定年宣言があり、その際に古参の経理部長も引退させるという話でしたが
中々、お二人ともスムーズにはやめられなかったようです。
前回「事業承継のポイント①経営者保証を外せ」では
社長個人と会社の資産管理をしっかりと分けることが重要とお伝えいたしました。
今回も要点は似ています。
それは情報を企業に集約するということです。
例えば、名刺・顧客名簿・契約書類といったものです。
しかし、そうすると営業部長が名刺を見たい、契約書を確認したいとなって
自分の手元に置きたいとなるかもしれません。
誰しも、情報を自分が持っていたいものです。
そこで有効なものが、データ化しておくことです。
そうすれば特定のフォルダをみることで経営の重要情報を把握することが出来ます。
これで後継者は経営を格段に引き継ぎやすくなるのです。
あとは、精神的な面について社長から後継者に想いを伝えていくことに
集中することができます。
次回は、事業承継が行われるとなった場合にそれをサポートしてくれる
事業承継税制や事業承継補助金についてお伝えをしていきます。