補聴器も充電式の時代
今回は耳穴型補聴器のメリットについて再確認してみたいと思います。
2000年代の前半は国内で出荷された補聴器のうち、その大半を耳穴型補聴器が占めていました。
しかし、2004年頃から徐々にその割合が減り始めて今では耳かけ形補聴器の方が主流となっています。
その訳は、上の画像のような小型耳かけ補聴器の台頭によるもの。
これらの補聴器は、本体が小さく目立たないだけでなく、耳に挿入する部分についても小さく出来ており、かつ耳穴を完全に塞がない「オープンフィッティング」と呼ばれる技術により、閉塞感が非常に軽減されています。
補聴器を初めて使用する方では、この閉塞感・自声の響きの違和感を気にされる方が多く、補聴器を諦めてしまう最初のハードルとなっていました。
それを解決したのが小型耳かけ補聴器だったわけです。
また、耳穴型補聴器は個人別に形が異なる「オーダーメイド」補聴器ですので、それぞれの耳型に合わせるために"耳型採型"が必要となります。
耳の穴に材料を流し込んで固めるわけですが、この作業には熟練のスキルが必要となります。
しかし、熟練の技術ある人材は限られ、多くはほんの数週間の研修を経ただけの販売員ばかりなため、オーダーメイド補聴器よりも売りやすい既製の耳かけ形を提案することが増えた・・・という販売する側の事情もあります。
上の写真は耳型採型した、オーダーメイド補聴器作成の"モト"となる型
小型耳かけ補聴器は万能か?
小型耳かけ補聴器にはメリットが多いように思えますが、決して万能ではありません。
最初は耳を密閉しない「オープンフィッティング」で良いですが、いつまでもそのままでは効果が限られてしまいます。
最終的には、やはり密閉度を高めていかなければなりません。
耳かけ補聴器は耳穴型と比較すると、装着が難しいといったデメリットもあります。
一度耳にかけてから、耳栓を挿入するといった二段階の操作が必要だからです。
耳穴型は、ポンと入れるだけですね。
また、メガネやマスクをするという方にとっては、耳かけ形を邪魔と感じることもあるかも知れません。
耳穴型のメリットとデメリット
耳穴型補聴器の場合、やはり気になるのは閉塞感。
しかし、最近では非常に小型化が進んでおり、完全に奥まで入ってしまう物も出てきました。
このような超小型ですと、そこまで閉塞感はありません。
また、外から全く見えないことも大きなメリットですね。
音を拾うマイクロホンが、ちょうど耳穴の位置に来るので音の聞こえ方も自然。
電話を取る時も、今まで通り普通に通話できます。
耳かけ形では、マイクは耳の上になります。
奥に入ってしまうので、風切り音のようなゴーゴー言う不快な雑音も少ないです。
メガネやマスクとも干渉しません。
デメリットは、電池も小型となり4~5日ごとに電池交換が必要となることでしょうか。
しかし耳穴型補聴器について、メリットもたくさんありますので、もう一度再確認して見直しても良いのではないかと思います。
ただし、耳穴型補聴器の出来の良し悪しは全て「耳型採取」の腕にかかってきますので、充分な経験のある技能者でないと失敗する可能性もありますので気を付けて!