月次試算表を見ていなくても、会社がすぐにダメになるわけではありません【連載:年の終わりに、心を棚卸しする:第二回】
経営の相談に来られる方の中には、
すでに心身ともに、かなり疲弊している方がいます。
眠れない
食欲がない
何を聞いても、頭に入ってこない
それでも、
会社のことだけは考え続けている。
そんな状態で、
「もっと頑張りましょう」
「考え方を変えましょう」
と言われたら、
心が閉じてしまうのも無理はありません。
経営者は、弱音を吐く場所がありません
経営者は、
立場上、弱音を吐きにくい存在です。
社員には言えない。
家族にも言いにくい。
同業者には、なおさら言えない。
「自分がしっかりしなければ」
そう思うほど、
孤独は深くなっていきます。
私自身も、
過去に経営の現場で、
逃げ出したくなるような経験をしてきました。
だからこそ、
一人で抱え込んでしまう気持ちは、
よく分かるつもりです。
データは、心をこじ開ける道具ではありません
疲弊している経営者に対して、
いきなり数字を突きつけても、
前向きな対話にはなりません。
私が大切にしているのは、
まず「良いところ」を見つけることです。
思ったより、踏ん張っている
ここは、きちんと守れている
この判断は、間違っていなかった
そうした点を、
自分の言葉でお伝えします。
すると、
「全部がダメだったわけじゃないんだ」
と、少しだけ肩の力が抜ける瞬間があります。
ネガティブだと思っていたことが、強みになる
経営者が
「自分はダメだ」
と思っている部分が、
実は会社の個性や強みであることも、少なくありません。
融通が利く
現場に詳しい
無理をしない
周囲からは
弱みのように見えることが、
長く続いてきた理由だった、
というケースもあります。
それに気づいたとき、
経営者の表情が変わることがあります。
「やれば、いけるかもしれない」と思える状態へ
いきなり前向きになる必要はありません。
ただ、
少し整理できた
先が、ほんの少し見えた
次に考えることが分かった
それだけで、
人は次の一歩を踏み出せます。
私の仕事は、
無理に背中を押すことではなく、
自分で歩き出せる状態を整えること
だと思っています。
本音に触れられる関係であるか
経営支援において、
一番大切なのは、
「本音に触れられるかどうか」
ではないでしょうか。
普段は誰にも言えないこと。
見せたくない数字。
心の奥にある迷い。
それを、
少しずつでも話せる相手であること。
そのために、
私はデータと対話を使っています。
経営者が、
「今日は、ここまで話せました」
と言って帰られるときがあります。
それだけで、
その時間に意味があったのだと、
私は思っています。
今日は、ここまでにします。
※このコラムは、月曜・木曜に掲載しています。
立ち止まって考える時間を大切にした連載です。



