お金に“色”をつけるだけで、経営の守備力が上がる 「家族経営の経理コーチング(夏休み特集②)」
家計簿感覚でできる、冬の資金繰り。― 日繰りで整える、家族経営の台所(第9回)
冬は、家族経営にとってとても負担が大きい季節です。
支払いが重なるだけでなく、売上も落ち着き、
家計との行き来も増えやすくなります。
そのため、冬の間は
どうしても「乗り切ること」に意識が向きがちですが、
日繰りを続けていると、
冬が終わったあとに見える景色が変わり始めます。
記録の積み重ねが、
小さな会社に “未来を見る力” を与えてくれるのです。
1. 冬の動き方に「傾向」が見えてくる
日繰りを続けていると、
毎年の冬の資金繰りには一定のパターンがあることに気づきます。
・この時期は支払いが多い
・この取引先の入金は数日ずれやすい
・家計との行き来が増えるのはこのタイミング
・年末年始で売上が落ちやすい
これらは一つひとつは小さな情報ですが、
日繰りに並んでいることで
「冬はこう動く」という理解が自然と深まります。
予測を正確に当てる必要はありません。
“傾向を知ること”が、冬を軽くする大きな助けになります。
2. 翌年の冬に向けて、前もって準備できる
日繰りを続ける最大の効果のひとつが、
「翌年の冬に備えられるようになる」ことです。
・来年はこの支払いに気をつけよう
・年末のこの時期は残高を厚くしておきたい
・固定費を見直すのはこの時期が良い
・家計との調整は早めに話しておこう
今年の冬の実態が見えることで、
次の冬への心構えが自然とできていきます。
日繰りには、未来を改善するためのヒントが
必ずといっていいほど残っています。
3. 「もしもの場合」に備えやすくなる
冬は、少しのズレが大きな不安につながりやすい季節ですが、
日繰りがあれば「最悪のケース」を冷静に書き出せます。
・入金が遅れたらどうなるか
・仕入れが重なったらどこが苦しくなるか
・家計はどれくらい支えられるか
・逆に、会社が家計を支える余力はどれくらいか
最悪を知っておくと、
それだけで不安が半分に減ります。
準備ができている状態は、
家族経営を守る大きな力になります。
4. 家族・従業員・税理士・銀行との関係が良くなる
日繰りを続けている会社は、
規模の大小に関わらず「把握している会社」と見なされます。
・家族とは、事実をもとに冷静な話し合いができる
・従業員には、会社の状況を簡潔に伝えられる
・税理士には、情報の整理された相談ができる
・銀行には、先の見通しを持った会社として理解される
“状況を説明できること”は、
外部との信頼関係を築くうえで非常に大きな意味を持ちます。
協力者が増えると、
冬の厳しい状況をひとりで抱え込まずに済むようになります。
5. 冬を越えたとき、気づけば「自信」が育っている
日繰りは特別な経理手法ではありません。
しかし、
・日々の動きを書き留める
・流れを把握する
・家族や関係者と共有する
これらを続けているうちに、
いつの間にか“自信の土台”が育ち始めます。
家族経営にとって、
この“自信”は冬を越えるための大きな支えです。
冬の厳しさは変わらなくても、
向き合い方は確実に変わります。
具体的な工夫は平岡商店サイトのまとめ記事で紹介しています
冬を越えたあとの振り返り方や、
翌年に向けた準備の方法など、実務的な内容は
平岡商店サイトのまとめ記事「経理をワクワクに」で整理しています。
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