冬の資金繰りは「優先順位」で軽くなる。 ー家族経営が迷いを減らすための考え方 (日繰りで整える、家族経営の台所(第4回))

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(おかね編)

家計簿感覚でできる、冬の資金繰り。― 日繰りで整える、家族経営の台所(第4回)

冬の資金繰りが苦しくなると、
「どれから手をつければいいのか分からない」という迷いが大きくなります。

あれも大事、これも大事。
全部を同時に考えようとして、頭の中がいっぱいになってしまう。

これは家族経営によくある状況で、
決して経営能力の問題ではありません。

冬は、支払いが重なる時期であると同時に、
売上や入金の動きが落ち着く季節でもあります。

だからこそ、
優先順位があると不安は一気に減ります。

1. 止められない支払いを最優先にする


最初に考えるべきは、
「止められると困る支払い」です。

・家賃
・社会保険料
・従業員への給与
・電気・通信などのインフラ費用

これらは「事業を止めないための支払い」と捉えると分かりやすくなります。

優先順位の一番上に置くべき理由は単純で、
止まってしまうと、再開するまでの負担が大きくなってしまうからです。

まずはここを確保できるかどうか。
日繰りで残高と支払い予定を並べるだけで、判断が早くなります。

2. 遅れると影響が大きい支払いを次に見る


次に考えるのが、
遅れることで相手に迷惑がかかる支払いです。

・仕入れ先への支払い
・外注先への支払い
・取引の信頼に関わる支払い

家族経営では、小さな取引先との信頼関係がとても重要です。

支払いが遅れると、
取引先自身の冬の資金繰りを圧迫してしまうこともあるため、
丁寧に扱うべき部分でもあります。

日繰りを見ながら、
「どこにどれだけ優先度があるか」を整理すると、
迷いが減り、判断が軽くなります。

3. 調整できる支払いは“現実的に見て”決める


最後に考えるのが、
調整可能な支払いです。

・年末のまとめ買い
・消耗品や小口の経費
・時期をずらせる支払い

冬の資金繰りが厳しいときは、
“やらなくてもいい支払い”を明確にするだけで負担が減ります。

大切なのは、
削るのではなく「後ろへずらす」という発想を持つこと。

これだけで、
資金繰りの見通しがずっとラクになっていきます。

優先順位は、日繰りの流れの中で自然に見えてくる


ここまで書くと、
「優先順位を決めるのは難しそう」と思われるかもしれません。

しかし実際には、日繰りを続けていくと
自然と優先順位が浮かび上がってきます。

・残高がどれくらいあるか
・今週どれだけ出る予定か
・来週どれくらい入るか
・どこで山場が来そうか

家計簿を続けていると
「今月ちょっと厳しいな」と分かるのと同じで、
家族経営も日々の流れを見ることで判断が直感的になります。

冬の資金繰りは「すばやく判断すること」ではなく、
「迷いを減らすこと」が大切です。

そのための地図が、日繰りです。

具体的な工夫は平岡商店サイトのまとめ記事で紹介しています


優先順位のつけ方を具体的にどう表に落とすか、
ノートとExcelのどちらが合っているかなど、より実務的な内容は
平岡商店サイトのまとめ記事「経理をワクワクに」で整理しています。

「読んでみたけど分からない」「これで合っているのか不安」という場合は、
お問い合わせページから気軽にご連絡ください。

次回(第5回)

日繰りで“把握力”が育つ。会社のお金が感覚でつかめるようになる理由

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平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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