数字が苦手だからこそ見えるものがある——現場と経営をつなぐ感性 (継ぐ人のための、数字と向き合う経営ノート:第11回)
事業承継やM&Aによって経営を引き継いだ後継者が、経営者としての役割を担い始めると、次第に「孤独」と「責任」の重さに気づき始めます。
とくに未経験者の場合、周囲からは「社長になったのだから」「もう任されたのだから」と期待される一方で、内心では「本当に自分でいいのか」「誰にも相談できない」と感じていることが少なくありません。
この“見えない重さ”は、家族経営のような小規模事業者ほど顕著です。社員との距離が近く、銀行や税理士との関係も長く続いている中で、後継者が経営者としての信頼を得るには、単なる肩書き以上の「存在感」と「判断力」が求められます。
どこまで伝えるべきか──実務の悩み
経営者としての責任は、「何を伝えるか」「誰にどこまで伝えるか」という判断にも現れます。
- 家族に資金繰りの不安をどこまで話すべきか
- 社員に経営状況をどこまで共有すべきか
- 銀行や税理士にどこまで本音を見せるべきか
こうした問いに、明確な正解はありません。伝えすぎれば不安を招き、伝えなければ信頼を失う──そのバランスに悩む後継者は非常に多いのです。
納得解は、状況に応じて導き出すもの
このような実務的な判断には、「正解」ではなく「納得解」が必要です。会社の状況、経営者の性格、関係者との距離感──それらを踏まえたうえで、何をどう伝えるかを決める必要があります。
平岡商店の伴走支援では、こうした判断の場面において、経験を積んだ支援者が後継者と共に状況を整理し、納得解を導き出すコーチングを行っています。
たとえば、ある事業再生の現場では、資金繰りが逼迫する中で、社員にどこまで状況を伝えるかを迷っていた後継者がいました。支援者が現場と数字を一緒に見ながら、社員の反応や組織の体力を踏まえて対話の設計を支援。結果として、社員の理解と協力を得ることができ、経営の立て直しが加速しました。
孤独を対話に変える支援の力
経営者は、最終的な責任をひとりで背負う立場です。だからこそ、孤独になりやすい。けれども、信頼できる支援者がそばにいることで、その孤独は「対話の場」へと変わります。
- 経理や資金繰りの状況を冷静に整理する
- 銀行や税理士との対話に向けた準備をする
- 社員や家族との関係性を見直すきっかけをつくる
こうした支援があることで、後継者は「自分の言葉で語れる経営者」へと育っていきます。
コーチングが導く“納得して進める力”
平岡商店の「ビジネス・ストレングス・コーチング」は、後継者が孤独を抱え込まず、状況に応じた納得解を持って前に進めるよう、現場と数字の両面から伴走します。
- 判断の材料を整理する
- 見落としがちな視点を補う
- 社内外との対話を設計するサポートをする
経営者は孤独になりがち。でも、納得して進める力があれば、責任は共有できる。そして、経営の軸が育っていきます。
次回は「育てるという仕事──社員と共に成長する経営」についてお話しします。
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