家族経営の経理コーチング⑥ 日繰り表を財務分析ツールにする。お金に色をつけると見通しが明るくなるー前編

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(おかね編)

家族経営のモヤモヤをワクワクにするビジネスストレングスコーチング。この連載では、家族経営や個人事業主の方に向けて、お金と上手に付き合うコツをわかりやすくお届けしています。


お金の流れが変わる!好循環を生む日繰り表の活用術(前回のおさらい)


日繰り表の役割:資金繰りを可視化し、好循環を生み出し経営基盤を整える
二つの重要な視点:残高にこだわることと、計入制出を実践すること
全員経営者意識:家族全員で「はいる」「でる」「のこる」に向き合うことで、モヤモヤをワクワクに変える!

第五回では、お金の動きを良くするために大切な二つの視点をご紹介しました。第六回では、前回の活用術を踏まえて日繰り表を財務分析ツールとして活用できる方法をご紹介します(前、後編に分けてご紹介します)

お金に色をつける


お金の動きを見える化し、好循環に変えるための日繰り表の活用方法についてご紹介してきましたが、今回お伝えしたいことは「お金に色をつける」ということです。簿記や会計に携わっていない方、数字が苦手な方にとって経営、財務分析はわかりにくい印象を持つ方も多いと思います。 ビジネスストレングスコーチングはビジネス会計の要素を取り入れて、数字が苦手な方、勘定科目や財務諸表を扱う機会の少ない方に分かりやすくお金の話をするために、ひらがなと色を使って解説していきます。単なる色付けではなく、お金には様々な用途があり、それらを”色”と表現してコーチングをしています。

お金の色を正しく理解し、お金を扱えば流れはよくなります。お金の色を考えずに使うと資金繰りは苦しくなります。最終章はこれまで活用してきた日繰り表を使って「お金の色」について考える機会にしていただければと思います。

ステップ①分類


”三つの『る』”の「はいる」「でる」を、それぞれ二つに分けます。

はいる(入金)→うる(売上)/かりる(借入)
でる(出金)→つかう(経費)/かえす(返済)

用意していただくのはこれまで作成してきた日繰り表の1か月分で結構です。 まず、「はいる(入金額)」を「うる(売上)」「かりる(借入)」に分類します。 次に「でる(出金)」を「つかう(経費)」「かえす(返済)」に分類します。 エクセル、スプレッドシートに一行加筆しても良いし、前述のようにセルに色をつけても構いません。

「つかう」は、仕入、家賃、給料などの日常的な経費です。家族の給料、役員報酬も含みます。 「かりる」「かえす」には銀行、家族から借りたお金が含まれます。お金をお店に入れた場合は「かりる」、お店のお金を家族に出した場合は「かえす」に分類してください。‘’四つの『る』‘’ができあがります。お金の基本四色です。



ステップ②集計


ステップ①で分けた”四つの『る』”を集計します

うる(売上)a、つかう(経費)b、かりる(借入)c、かえす(返済)d  1か月分の日繰り表を abcdごとに集計してください。もし、1ヶ月分の日繰り表が作成出来なかった場合は、1週間分程度でも結構ですから集計してみてください。

ステップ③計算と表作成


次に前月末の現預金残高Aを確認して、以下のように並べ計算します

前月末の残高A
  うる  a
  つかう b
営業収支 のこる①=a-b  
  かりる c
  かえす d
財務収支 のこる②=c-d
総合収支 のこる③=①ー②
月末の残高B=A+③

項目が増えますので慣れないうちは理解しにくいと思います。視覚的に理解できるようセルに色をつけてみてください。参考までにビジネスストレングスコーチングで使用する色をご紹介しておきます。数字が苦手な方でも感覚的に収支を把握しやすくなるのがポイントです。

入金は暖色系(例:ピンク、ベージュ)はいる、うる、かりる等
出金は寒色系(例:ブルー、グレー)でる、つかう、かえす等
個別収支はオレンジ・・のこる①、のこる②
総合収支は緑・・・・・のこる③
残高は黄色・・・・・・残高A、残高B

ステップ④予想


ステップ③の集計結果を踏まえて来月以降の予想をしてみましょう。ステップ③で作成した表を翌月以降に延長し、来月、再来月の「うるa」「つかうb」「かりるc」「かえすd」を予想してください。 通帳、請求書、販売ソフト、会計ソフトなどに手掛かりはありますし、より詳しいことは担当社員に質問しても良いでしょう。

家族で話し合いながら、最低2ヶ月、出来れば3ヶ月分の予想表を作ってみてください。例えば、通帳から来月の家賃や返済額を確認し、それを『でる』に加えることで、残高の推移が予測可能になります。

ここまでが前編です。後編では、日繰り表を“財務の見通し”としてどう使うかを解説します。

もっと詳しく知りたい方へ


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Mybestpro Members

平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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