家族経営の経理コーチング⑥ 日繰り表を財務分析ツールにする。お金に色をつけると見通しが明るくなるー前編
家族経営のモヤモヤをワクワクにするビジネスストレングスコーチング。この連載では、家族経営や個人事業主の方に向けて、お金と上手に付き合うコツをわかりやすくお届けしています。
数字苦手でも大丈夫!日繰り表で経理もスッキリ整理術(前回のおさらい)
「ざっくり」の金額でよい
「こまめに」入力する
「さき日付まで」予想値を
「コロコロ」変わってよい
「みえるところに」設置
「まいにち」見る、話し合う
第四回では日繰り表を有効に活用する方法をご紹介しました。日繰り表を作ることが直接的に資金繰りを楽にしたり、お金を増やすことに至りませんが、毎日ちょっとした心がけで目標設定、意思決定の役に立つことや、家族、社内のコミュケーションが活発になる効果もあることをお話ししたと思います。
第五回目は少し堅い話になるかもしれませんが、日繰り表を作ることの目的を掘り下げながら家族経営のお金の管理、運用方法について考える機会にしたいと思います。
日繰り表をつける目的は何でしたか?
改めて考えてみましょう。日繰り表をつける目的は何でしたか?お金の動きを把握する、お金を回す手法を身に着けることをテーマに進めてきたと思います。さらに付け加えますと、日繰り表を効果的に活用することで、お金の動き、回り方を好循環に変えることが出来るのです。では、お金の動きを好循環に変えるとはどういうことなのでしょうか?答えは簡単ですね。
(入金)はいる > (出金)でる → (残高)ふえる
入金額が出金額を上回れば、結果として残高が増えますね。そんな簡単なことかと思われるかもしれませんが、お金がない、資金繰りがギリギリ、先行きが不安でモヤモヤしている、といった課題を抱えている方はこの計算式にこだわってほしいのです。そのための重要な視点は二つです。
①残高(のこる)にこだわる
一つめは「残高(のこる)」にこだわってください。日繰り表はざっくりした金額で作成すれば良いことを前回お伝えしましたが、一方で曖昧になってしまうデメリットもあります。日繰り表の残高がマイナスで推移していても、実際の残高とズレが生じても、お金は回っているからそんなに細かいところに気を使わなくてもいいのではないか?と考える気持ちも分かります。ただ、お金の動きを安定させたいと考えるなら、まず日繰り表の残高にこだわってほしいのです。予想とはいえ常にプラスであることを意識してほしいのです。
経営とはあがった数字と残った数字を管理することです。売上を上げることと資金繰りは似たようで別のテーマなのです。あがった数字に加えて、いくら残っているのか?その推移を見守ることが会社を守ることに通じます。
②計入制出(入るを計り出ずるを制す)
二つめは計入制出です。家族経営において支払の予定は外れにくいです。資金繰りがギリギリ、先行きが不安といったモヤモヤ感のある方も、いざ今月末の支払いが出来ないといった心配をされている方も、まず、出ていくお金(出ずる)を予想し、それを減らす(制す)工夫をすることです。
制するとはどういうことか?支払日を遅らせたり、支払額を減らす工夫をすることです。約束通りに支払う前提で、経営の中でできる小さな調整を考えるのです。たとえば、仕入先と交渉して支払い条件を変更する、定期支払を分割するなど、普段の取引に調整を加えることで少額の好循環を生み出します。一方、売上(入る)は予想しにくいのが常です。慎重に予想する(計る)のです。
家族全員が経営者になる
大切なことは、残高にこだわり続けることです。小さな工夫を積み重ねることで、節目の残高に変化が起こります。家族経営に関わるご家族、社員全員が「経営者」となって、残高を守るための気づきと気遣いを重ねることで少しずつ好循環を生み出すものです。あなたの家族では、どんな工夫が考えられるでしょう?具体的な取り組みを始めることで、明日から小さな変化が生まれるかもしれません。
「よりよく壊す」
今回はお金の動きを好循環に変える目的で日繰り表の活用方法をご紹介しました。少額資本を回す家族経営、小規模事業者では、とにもかくにも資金繰りが第一です。それは、出るお金と入るお金を慎重に予想し、まずは『最悪の場合』のシナリオを設定することが重要です。そして、日々の工夫を積み重ねながら予想を「よりよく壊す」ことなのです。そして、小さな会社だからこそ全員が経営者となり「はいる」「でる」「のこる」にこだわることで、持続可能な経営基盤を築くことが出来るのです
まとめ
日繰り表の役割:資金繰りを可視化し、好循環を生み出し、経営基盤を整える
二つの重要な視点:残高にこだわることと、計入制出を実践すること
全員経営者意識:家族全員で「はいる」「でる」「のこる」に向き合うことで、モヤモヤをワクワクに変える!
次回は、日繰り表を財務分析ツールとして使う方法をお伝えします。
もっと詳しく知りたい方へ
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