資金繰り表は“試合の予告先発”。freeeで未来の展開を描く「家族経営の経理コーチング(夏休み特集⑤)」
家族経営のモヤモヤをワクワクにするビジネスストレングスコーチング。このコラムでは、家族経営、個人事業主さんのような小規模な事業を経営する方向けに、お金と上手に付き合うコツを分かりやすくお伝えしていきます。
いま現在「お金がない」、「いつもギリギリ」、「見通しが立たない」、「とにかく数字が苦手」といった経営に携わっている方、これから起業や事業承継を考えている方、迷っている方、「今さら聞けない」といった方にもお勧めします。
補足)資金調達、投資、補助金、助成金、節税等といった話とは異なり、家族経営、個人事業の方が商いを長く続けていくための豆知識、コツをお伝えしていきたいと思っています。予めご了承ください。
家族経営のお金、特徴は三つです
家族経営のお金の話を進める上で、お伝えしておきたいことがあります。大企業、中小企業といった売上の大きな会社とは異なる環境で経営をしていると考えておいてほしいのです。その上で私は大きな特徴が三つあると考えています。一つ目は「すぐなくなる」ということです。お金がない訳ではないけども毎月の資金繰りをしていると、あっという間にお金が減っていく印象を持っている方が多いと思います。そうです、そもそも回しているお金が少ないので、ちょっとした経営の変化によってお金の動きが大きく変化しますね。
二つ目は「どんぶり勘定」であることとです。そもそもが家族が生業、生活のために始めた商売であることが多いので、第三者が出資することは少ないでしょう。また、ご商売の規模も年間数百万から数億円の売上規模だと銀行融資も多くは見込めません。少額の資本金で事業を大きくしようと頑張っても「出す人」「貸す人」が少なければ、自分で出すしかありませんね。また、経営者、ご家族自身が現場で担当業務をもって仕事をされていることが多いので、経理処理や経費精算が後回しになることも多いでしょう。結果的に個人、家族のお金も含めて資金を回している=どんぶり勘定になるのが当然だと思います。
どんぶり勘定は悪くないのです
ビジネスストレングスコーチングでは経営状態や組織、仕事の様子を踏まえて、どんぶり勘定を推奨することが多いです。ドンブリ勘定自体は悪いことではないんです。大切なことは正しくお金の動きを把握することであって、ドンブリ勘定が悪いからお金がなくなる、資金繰りが苦しくなることとは別問題です。ドンブリでもいいんです、ドンピシャに把握すれば。この辺りの話は後編でお伝えしたいと思います。
さて、三つ目の特徴は「借りて回している」ということです。自己資本が小さく、投資、融資も受けにくい。そのため、個人的なお金、家族のお金も含めてお金を回しているということを述べてきましたが、違う視点で言いますと「なかなか貯まらない」のではないでしょうか?そもそも小規模な商いですので、売上だけにとどまらず手元に残る利益もわずかでしょう。例えば年商一億円の会社があったとして最終利益はいくらでしょう?せいぜい数百万円も出れば十分です。しかもそこから銀行返済など「借りたお金」を返すので、本当に手元に残るお金はさらに減少しますね。どんどん売上を上げて、利益をためて、お金が増えていく経営をされている会社も多いことと思いますが、家族経営、小規模事業者さんですと、そうもいかないのが実態ではないでしょうか?
借りて回す
また、実際にお金を借りているのは銀行や家族だけではありませんね。仕入代金、給料、年金、税金、保険、光熱費、家賃など、多くの支払いは現金即払いではなく、月末締、翌月末支払のようにツケ払い=信用取引をされていませんか?これは、家族経営に限りませんが、取引先、従業員、銀行、自治体=世間から様々な形でお金を借りて回っているのです。
家族経営のお金の話を進める上で、少額で、どんぶり勘定であることを踏まえて、取引先、社員、銀行の協力を得ながら、上手に「借りて回す」技術が必要になるのです。では、どうやって借りて回す技術を身につけるのか?詳しくは次回にお話ししたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。



