資金調達、財務管理を通して中小企業の「まっとうな経営」を支援する（3/3）

経営者の心のケアまできめ細かく対応

　大学卒業後。八千代銀行に入行。「大学を出たての若輩者でも、融資業務で会社のトップと話ができることが楽しかった」と言いますが「組織の中でできることに限界がある」と感じて、34歳で独立しました。Conseil Mobillier（コンセイユ・モビリエ）というめずらしい社名の由来は、「コンセイユは、フランス語でコンサルタントの意味。モビリエは、世界で初めて事業家向けに融資を行った銀行家のクレディ・モビリエから付けました」。さらに、「mobillieには、mobile（モバイル）という文字が入っている。小回りがきく存在と思ってもらえれば嬉しいですね」

　その由来通り、井上さんの顧客への対応は細やか。資金繰りに頭を悩ませ、「夜も眠れない」など不安を訴える顧客の電話にも快く付き合うそうです。
　「心のケアを含めて、仕事は24時間営業です」
　独立するときは、「必ずしも成功する勝算はなかった」と苦笑しますが、「こうやって仕事を続けていられるのは、少しは世の中のお役に立てているということでしょう（笑）。自分がかかわっている間だけ会社経営がうまくいってもだめ。経営者が私から卒業し、私が離れてもまっとうな経営を続けられるのが理想です」

　井上さんは、弁護士、社会保険労務士、税理士らとも連携。資金調達を入口に経営のあらゆる問題に対処できる態勢を整えています。
　「お金のことで困ったらとりあえず相談してほしいですね。お金を借りる、不渡りを防ぐといった金融機関対策だけではなく、金融機関との関係を良好に保ちながら事業を続けるためには、どんな方法があるのかも一緒に考えていけます。金融機関が首を縦に振る事業というのは、結果的に従業員も取引先も認めてくれて、みんなが幸せになれるものなんですよ」

（取材年月：2011年12月）

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