『年だから仕方ない』を変える片づけ。転倒を防ぎ、自宅で安心して暮らすために

弘瀨美加

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テーマ:シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納



「転倒しない!」その一言に込められた想い

先日、シニアの皆さまが集まるイベントにお招きいただき、
来場者の皆さまに拙著『80代、自宅で快適に暮らす片づけ』を
ご紹介していただく機会がありました。

本を手に取ってくださったある女性が、
表紙の「転倒しない!」という文字をご覧になるなり、
「そうそう!本当にこれが一番大事なのよ!」
と、大きな声でおっしゃいました。
お話を伺うと、この2~3年の間に、
ご自宅の中で6回も転倒し、
そのたびに骨折を経験されたそうです。
幸い手術が必要になるほどではなかったものの、
その出来事をきっかけに、
「年だから仕方ない…」
と、自分の老いを受け入れ、
諦めるような気持ちになってしまったと
話してくださいました。

その方は本をご購入くださり、
会場の隅で椅子に座ってすぐに読み始めてくださいました。
そして帰り際、
「途中まで読んだけど、モノを捨てたらいいってことじゃないのね。
 家に帰ってじっくり読んで、『年だから仕方ない』と思わないで片づけるわね。」
と笑顔で声をかけてくださいました。
その言葉が、とても嬉しく心に残っています。


整理収納は「捨てること」が目的ではありません

高齢になると、筋力やバランス感覚、視力など心身の変化によって、
転倒のリスクは高くなります。
だからこそ、整理収納は「部屋をきれいにすること」ではなく、
これからも自宅で安心・安全・快適に暮らし続けるための環境づくりが大切です。
「年だから仕方ない」と諦めるのではなく、
暮らし方を少し工夫することで防げる転倒もたくさんあります。


今日からできる転倒リスクを下げるポイント

① 自分の動きを観察する
  まずは、ご自身の暮らしを観察してみましょう。
  ・家の中で毎日よく通る場所はどこですか?
  ・立ち上がるときや歩くとき、よく手をつく場所はありませんか?
   ※壁紙や家具に手垢が付いている場所は、
    無意識に支えとして使っていることが多いものです。

② よく通る動線にはモノを置かない
毎日歩く場所に、ちょっとした荷物や収納用品が置かれていませんか?
少しの段差や障害物でも、つまずきの原因になります。
安心して歩ける動線を確保しましょう。

③ よく手をつく場所を安全にする
・手すりを設置する
・床の段差を解消する
など、身体を支える環境を整えることも大切です。

④ 身近な危険を見直す
・電気コードは壁際に沿わせる
・キャスター付き家具はストッパーをかける
・スリッパではなく、かかとまでしっかり覆うルームシューズを履く
※かかとが浮く履物は足が上がりにくくなり、
   「すり足」になりやすいため、
   畳の縁やわずかな段差でもつまずきやすくなります。


「できることから」で十分です

一度に全部やろうとしなくても大丈夫です。
まずは、毎日歩く場所を見直すことから始めてみませんか。
整理収納は、モノを減らすことだけではありません。
これからも住み慣れた自宅で、自分らしく安心して暮らし続けるための環境づくりです。
「年だから仕方ない」ではなく、「まだできることがある。」
そんな気持ちで、一歩ずつ暮らしを整えていただけたら嬉しいです。


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弘瀨美加
専門家

弘瀨美加(講師)

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

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