キッチンの収納
先日、お会いした70代後半の男性。
奥様が思うように動けなくなり、片付けの相談に来られた。
第一印象は、明るく親しみやすい感じに思えたが、数分話したところで、
「耳が悪くて聞こえにくいことがあるので、今のもう1回言ってもらえる?」
と仰った。そこで、初めて、耳に補聴器をつけてらっしゃることに気が付いた。
それから、いつもより少し声のトーンを下げて、ゆっくりハッキリ、
大きくやさしくを心掛けて話したら、
「あなたとは、会話が出来る!嬉しい!」
と、これまでのご苦労を堰を切ったように話された。
それは、耳の聞こえが悪くなってから、奥様とも会話が出来ず筆談になり、
医師のいうことも、念仏みたいで、何を言っているか全く分からない。
けれど、唯一、話していることがわかるのが、二人いる子供の一人なので、
その子供に通院などの時は付き添ってもらっているが、
少し離れたところで暮らしているので、普段の生活での不自由は我慢している。
何か事がおこって人に聞いみても、『聞こえないのなら聞くな。』と、
これまでも、何度も言われてきたので、『もう、人と話すことはしない』と心に決めたが、
今回は、どうしようもなくなって、思い切って来てみたということだった。
それからも暫く、「これも聞いていい?」、「あれは分かる?」、「それも教えて!」と1時間以上お喋りをして、
「何年振りかに子供以外の人と話が出来て楽しかった。嬉しかった。ありがとう。」と言って帰られた。
コロナになるもっと前からというから、何年、人とのコミュネーションを避けて生活をされてきたのだろうか?
私が第一印象でもった、明るく親しみやすい感じは、もともとの性格?それとも、頑張って作られた?
もともとの性格ならば、それが閉じ込められないうちに、心に決めたことを撤回することが出来ればいいのに。何か方法はないのかな?
などなど・・・色々と考えさせられた、この男性の心の奥の言葉。
現時点の私には、『用事がなくても、近くに来られたら、お喋りしによって下さい。』くらいしか出来ないけれど、
人に対して作られた心の壁が少しでも薄く低くなればいいなと思った。
シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living