【2026年9月】岩手で大雨が続いています。「雨漏りかも」と思ったら、最初の1週間でやること・やってはいけないこと

こんにちは。盛岡市で屋根工事を専門にしている瀧澤屋根工業です。
「うちの屋根、アスベストが入っているって言われたんですが、大丈夫なんでしょうか」
コロニアル(スレート)屋根のお宅で、最近とても多いご相談です。
アスベストと聞くと、どきっとしますよね。ニュースで見る健康被害の話を思い出して、不安になる方がほとんどです。
今回は、日本でいちばん多く使われているスレート屋根「コロニアル」について、
- アスベストが入っているのは、いつ作られたものか
- 入っていたら、何に気をつければいいのか
- 切り替わった直後の屋根材にある、別の注意点
- わが家の屋根がどれなのか、調べる方法
を、メーカー(ケイミュー株式会社)の公式資料と、国の資料をもとに整理します。
怖がらせる記事ではありません。「どこまでが心配いらなくて、どこからが気をつけるところか」をはっきりさせる記事です。
まず結論から書きます
- コロニアルは、2001年(平成13年)を境に、アスベストを含まない製品に切り替わりました
- 2001年より前に作られたコロニアルには、アスベストが入っています
- ただし、屋根に載っているだけなら、ふだんの暮らしで心配はいりません
- 気をつけるのは、屋根材を「割る・はがす・切る」工事のときです
- 2006年9月以降は、法律で石綿を含む建材の製造・使用そのものが禁止されています
順番に説明します。
コロニアルとは? メーカーはどこ?
コロニアルは、セメントに繊維を混ぜて薄い板にした屋根材です。正式には「カラーベスト」というシリーズの商品名で、「スレート」とも呼ばれます。
作っているのは、ケイミュー株式会社です。もともとは、
- クボタ(コロニアルの元のメーカー)
- 松下電工(今のパナソニック)
の屋根・外壁の部門が、2003年12月に一つになってできた会社です。
ケイミューは、前身の2社が作っていた石綿(アスベスト)入りの建材について、「石綿(アスベスト)に関する見解書」という資料を公開しています。最新は第7版(令和7年12月1日)。
商品ごとに、何年から何年まで作っていたか、石綿が何%入っていたかまで載っています。今回の表は、この資料から抜き出したものです。
屋根材別・アスベストを含む/含まない時期
主な商品だけ抜き出しました。年は「製造された期間」です。
アスベストを含むもの
■コロニアル:製造期間=1961〜1994年(昭和36〜平成6年)/石綿の含有率=10〜25%
■ニューコロニアル:製造期間=1979〜2001年(昭和54〜平成13年)/石綿の含有率=10〜15%
■グリシェイド・セイバリー・スペリアル:製造期間=1996〜2001年(平成8〜13年)/石綿の含有率=10〜15%
■ザルフ:製造期間=1997〜2001年11月(平成9〜13年)/石綿の含有率=0.1〜1%
■アーバニー:製造期間=1982〜1994年(昭和57〜平成6年)/石綿の含有率=5〜15%
■ニューアーバニー:製造期間=1994〜2001年11月(平成6〜13年)/石綿の含有率=0.1〜1%
■フルベスト20(松下電工):製造期間=1988〜2003年(昭和63〜平成15年)/石綿の含有率=時期により5%以下〜15%
アスベストを含まないもの
■コロニアルNEO:製造期間=2001年4月〜(平成13年〜)
■グリシェイドNEO:製造期間=2001年9月〜
■セイバリーNEO・スペリアルNEO:製造期間=2001年12月〜
■ザルフ(2001年12月以降の製造分)・ザルフグラッサ:製造期間=2001年12月〜
■レサス・シンフォニー(松下電工):製造期間=1999〜2006年ごろ
■コロニアルクァッド・コロニアルグラッサなど今の商品:製造期間=現在販売中
ケイミューは「設立以降に製造販売する建材には、石綿に係る法規制の対象となる商品はない」と明記しています。今の新築やカバー工法で使うコロニアルは、すべてアスベストを含みません。
※出典:ケイミュー株式会社「石綿(アスベスト)に関する見解書(第7版)」。全商品の一覧はケイミュー公式サイトで見られます。
国の規制の流れ(厚生労働省の資料より)
- 2004年10月1日:石綿を1%を超えて含む建材などの製造・使用が禁止
- 2006年9月1日:基準が0.1%超に引き下げられ、石綿を含む製品の製造・使用が全面的に禁止
コロニアルは、法律で禁止されるより3年ほど早く、2001年に切り替わっていたことになります。
ここだけは知っておいてほしい「無石綿」の話
表の中に「ザルフ」が2回出てくるのに気づいたでしょうか。
実は、同じ「ザルフ」でも、
- 2001年11月までの製造分 → 石綿を0.1〜1%含む
- 2001年12月からの製造分 → 含まない
と分かれています。
しかも前の方は、当時「無石綿」と表示して売られていました。
ケイミューの見解書によると、2006年の法改正の前は、1%以下の石綿を測る方法がなかったそうです。法改正で測り方が見直され、再分析したところ0.1%を超えるものが見つかった。それで規制の対象に加えた、という経緯です。
なので、私はこう考えています。
- 屋根材の裏に「無石綿」と書いてあっても、それだけで判断しない
- 商品名と、作られた時期で判断する
これがいちばん確実です。
入っていたら、どうなるの? 心配いらないこと・気をつけること
ふだんの暮らしでは、心配いりません
コロニアルの石綿は、セメントでがっちり固められています。
ケイミューは、石綿入りのコロニアルが載った建物のすぐ近くで、空気中の石綿を測った結果を公表しています。施工から15〜33年たった屋根で、空気1Lあたり0.20本未満〜0.51本。法律の基準(1Lあたり10本)を大きく下回っています。
屋根に載っているだけで、家族の体に影響するものではない、ということです。
気をつけるのは「割る・はがす・切る」とき
アスベストが問題になるのは、屋根材を壊して粉じんが出るときです。
- 屋根材をはがす「葺き替え」
- 屋根材を切ったり割ったりする工事
- 解体工事
このときは法律に沿って、
- 工事の前に、石綿が入っているかの事前調査(2023年10月からは、講習を修了した人が調査することが必要)
- 工事の内容によっては、調査結果を役所に報告
- 水で湿らせて粉じんを抑える、袋に詰めて専門の処分場へ運ぶ
といった手順が必要になります。そのぶん、費用も上がります。
ご自身で割ったり、高圧洗浄機を強く当ててこすったりするのは避けてください。
切り替わった直後の屋根材は、割れやすい?
ここからは、メーカーの公式資料にはない話です。
私たち屋根屋が、盛岡・岩手の現場で見てきたこととして書きます。
アスベストの代わりの繊維に切り替えたばかりの頃(2000年前後〜2000年代半ば)の屋根材は、
- 築10〜15年ほどで、ヒビや欠けが目立ってくる
- 板のふちが、ポロポロと崩れてくる
- 屋根に上がると、パキッと割れやすい
という屋根を、何度も現場で見てきました。
アスベストは、屋根材を丈夫にする役目もしていました。それを別の繊維に置き換えた最初の頃の製品は、耐久性の面で苦労があったのだと思っています。
もう一つ、大事なことがあります。
こうした屋根材は、塗装をしても割れが止まりません。
塗装は表面に色をつけて守るものです。板そのものが割れていく屋根には効きません。この話は以前のコラム「【築18〜30年の方へ】その屋根、塗ってはいけない屋根材かもしれません」で詳しく書いたので、気になる方は読んでみてください。
岩手はとくに、しみ込んだ水が凍ってふくらむ「凍害」と、雪の重みがあります。ヒビが入ると、そこから冬ごとに広がっていきます。
わが家はどれ? 新築した年で、だいたい分かります
〜2000年ごろに新築
コロニアル・ニューコロニアルの時代です。アスベスト入りの可能性が高いですが、ふだんの心配はいりません。
2001〜2004年ごろに新築
含むものと含まないものが、両方出回っていた時期です。商品名で判断します。
2004年10月〜2006年8月に新築
1%を超えて含む建材の製造が禁止された後です。ケイミューの製品なら含みません。
2006年9月以降に新築
法律で全面禁止された後の建物です。心配はほぼありません。
ただし、屋根材は「作られた年」と「屋根に載せた年」が少しずれることがあります。在庫の屋根材を使うこともあるからです。新築した年は、あくまで目安と考えてください。
もっと確実に調べる方法
1. 新築時の書類を見る:仕様書や図面、確認申請書に、屋根材の商品名(例:カラーベスト コロニアルNEO)が書かれていることがあります
2. 商品名で調べる:国土交通省と経済産業省がつくった「石綿(アスベスト)含有建材データベース」や、ケイミューの見解書で、製造期間と含有の有無を確認できます
3. それでも分からなければ、屋根屋に見てもらう:屋根材の形や色、裏側の表示、傷み方で、時期の見当がつくことがあります
ご自身で屋根に上がるのは、とても危険です。とくに切り替え直後の屋根材は割れやすいので、絶対にやめてください。
修理するなら、どの方法がいい?
アスベストが入っているかどうかで、選び方が変わります。
アスベストが入っている屋根(〜2001年ごろの製造)
- 割れた数枚の差し替え・ヒビの補修:屋根材を大きく壊さない範囲なら対応できます
- カバー工法(今の屋根の上に新しい屋根をかぶせる):撤去しないので、粉じんも処分費も出ません。いちばんおすすめすることが多い方法です
- 葺き替え(はがして新しくする):下地が傷んでいるときの方法。石綿の調査・飛散防止・処分のぶん、費用が上がります
切り替え直後のノンアスベスト屋根(2001年ごろ〜2000年代半ばの製造)
- アスベストの心配はありません
- ただ、割れが広がっていることが多く、塗装では長持ちしにくい屋根です
- 屋根全体の傷み方によって、カバー工法か葺き替えを選びます
今のコロニアル(クァッド・グラッサなど)
- アスベストの心配はありません
- 10年ごとの点検と、傷み具合に合わせたメンテナンスで大丈夫です
どの方法がいいかは、屋根材の種類だけでなく、下地(野地板・ルーフィング)の状態で決まります。屋根に上がって、目と手で確かめてから判断するのが当社のやり方です。
まとめ
- コロニアルは、2001年(平成13年)を境にアスベストを含まない製品に切り替わった(ケイミュー公式資料)
- 2006年9月以降は、法律で全面禁止
- 入っていても、屋根に載っているだけなら、ふだんの暮らしで心配はいらない
- 気をつけるのは、割る・はがす・切る工事のとき。撤去しないカバー工法なら、粉じんも処分費も出ない
- 「無石綿」の表示だけで判断せず、商品名と製造時期で判断する
- 切り替え直後の屋根材は、割れやすく、塗装では長持ちしにくいことが多い(現場での実感)
「うちはどっちだろう」と思ったら、新築した年と、屋根を遠くから撮った写真を送っていただくだけでも、だいたいの見当はおつけできます。
当社では現地調査・ご相談は無料で対応しております。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
瀧澤屋根工業 代表のタキサワでした。
参考資料
- ケイミュー株式会社「石綿(アスベスト)に関する見解書(第7版)」(令和7年12月1日) https://www.kmew.co.jp/kenkai/
- 厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」 https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/
- 国土交通省・経済産業省「石綿(アスベスト)含有建材データベース」


