3年ぶりに子育て支援メッセで糖尿病検査を実施します

笠原友子

笠原友子

テーマ:未来への絆プロジェクト

新型コロナ感染症が蔓延して早や3年、運動不足を実感する方も多いのではないでしょうか?
さまざまなイベントが、全国各地で開催されるようになり、人々の交流も復活しています。
少し血糖値が気になる方々も増えてきているのではないでしょうか?

2014年に臨床検査法が改正されて以来毎年、子育て支援メッセいしかわ会場で検体測定室開設し糖尿病検査を実施して来ました。
2020年、2021年はお休みしましたが、今年は3年ぶりに子育て支援メッセいしかわ2022に出場することになりました。


開催日は、2022年11月20日(日)
場所は、西武緑地公園内「産業展示館4号館」
時間は、10時~16時
検体測定室のブースは、38番(トイレ前)

子育て支援メッセいしかわで糖尿病検査をしているのは

子供たちと子育て世代の健康が心配だからです。
2014年に臨床検査法が改正されて以来毎年、子育て支援メッセいしかわ会場で検体測定室開設し糖尿病検査を実施して来ています。

世界中で2型糖尿病が増えていますが、若年世代も例外ではありません。
特にオーストラリア、日本や中国を含む西太平洋地域や東南アジアで著しく増加しています。日本でも、糖尿病患者は増加の一途をたどっていて、今後の若年世代の健康が心配されているところです(Ministry of Health, 2016) 。


原因は、遺伝的ななりやすさに加えて、肥満、不健康な食事、精神的ストレス、運動不足などの環境要因が2型糖尿病の発症に寄与していると言われています(DeFronzo et al., 2015)

糖尿病の高血糖状態には、ほとんど自覚症状が無く、検査をしないと血糖状態は分かりません。ところが、若者たちの合併症の進行は早く(“Long-Term Complications in Youth-Onset Type 2 Diabetes,” 2021)、糖尿病と診断されてわずか半年後には手術を要するほどの糖尿病性白内障と診断される方があるほどです。
実際、筆者が「糖尿病は栄養をとれば健康に戻る(経済界)」を出した後に、健康相談に立て続けに訪れた地元の若者たちも、視力の低下でめがね屋さんに眼科を紹介され、眼科から内科に回されて糖尿病が分かったと言っていたほどです。

糖尿病は伝染する?!
糖尿病は遺伝的になりやすさはあるものの、感染症ではありません。ところが、親子や周囲の人間関係が、そのまま肥満・糖尿病に関係する行動につながりやすいことや(Shiraki & Marui, 2005)、日本の小児2型糖尿病罹患率に関係することが知られています(Urakami, 2018)。
最終的には個人の問題ではありますが、肥満や糖尿病は、生活習慣の中で、知らずと周囲を巻き込んでいるのです(Raghavan et al., 2016)

例えば、親の糖尿病に関係なく、
兄妹が糖尿病だと、  2型糖尿病リスクは、 67%増加
配偶者が糖尿病だと、 2型糖尿病リスクは、 54%増加  
配偶者が肥満だと、 2型糖尿病リスクは、 54%増加
友人が糖尿病だと、  2型糖尿病リスクは、 55%増加  
友人が肥満だと、   2型糖尿病リスクは、 35%増加

人は互いに影響し合う生き物なんですね。

健診を受けられていない若年世代がいます
平成20年4月1日より特定検診等の義務化が実施され、健康診断や保健指導等の実施強化が健康保険組合などの医療保険者に求められることになりました。その対象は、40歳以上の被保険者及びその扶養者までを範囲としています。

これによって、これまでの労働安全衛生法に基づいて従業員だけに義務を課していた健診等の対象範囲は、被扶養者にまで広げられました。ところが、この法改正には子を産み育てる40歳未満の子育て世代が入っていません。

昨今の保育所不足も相まって、出産のため退職もしくは休職中の母親たちは、何の健診もうけられないまま数年を過ごしている場合も考えられます。会場で糖尿病検査をした母親たちの中には、健診会場で「子供を預けてから来るように」と入り口で返された方々もいました。

また、非正規雇用など雇用の問題から、職員としての健康診断も一般住民健診も、受けられないまま過ごしている父親たちの存在もあります。
さらに、事業所経費の問題から、35歳時の特定年齢検診時を除いて糖尿病の指標となるHbA1c値の検査項目を外す事業所が少なくありません。

臨床検査法の改正で、薬剤師や看護師も検体測定室の開設が可能になりました。
糖尿病は、血液検査をしないと、その血糖状態を知ることが出来ません。
平成26年(2014年)に臨床検査法が改正され、薬剤師や看護師も検体測定室を開設し、血液検査をできることとなりました。

検体測定室では、糖尿病患者が日常的に行う自己血糖測定と同じ方法にて採血を行います。
1回使いきりの穿刺針を使って自分で採血をします。瞬間的に針が出るので、大量の血が出ることはありませんが、穿刺に伴う痛みはありますので、自分で穿刺できない方は検査を受けることができません。
また、まれに通常の静脈採血同様に一時的な気分不快を感じることはありますが、今まで1,000人以上検査して来て、0.1%以下の割合で、しばらく横になっていただいたら回復する程度でした。

休日の子育て支援イベント会場での、コメディカルとの対話しながらのスクリーニング検査は、未受診ならびに治療中断者の掘り起こしのみならず、健診を受けることへの心理的ハードルを下げることにつながっていて、費用対効果が高いことが分かっています(Shono et al., 2018)。
また、保護者の同意を得られれば16歳未満の方も検査を受けることができて、若年世代への糖尿病予防の啓発ともなっています。

今までの結果集計も試みています。
検体測定室での検査は、受けた個人に対しての結果報告までが業務ですので、勝手に解析することは出来ません。
また、解析する情報量としては少ないので、アカデミックな解析結果はあまり期待できないかも知れません。

個人情報保護法の観点からも、実態を公表するためには、一旦倫理審査を受けなくてはいけないと言うのが、昨今のルールです。
またお名前が出なくても個人情報には違いありませんし、検体測定室での検査は研究や解析のための検査ではありませんので、解析されたくない方が居ないか世に問う必要があります。

意外と健診を受けられずにいる若い方々があります。
先にお話しした健診機会のないママたちも、ずっと健診を受けていないこと、家庭で子育て中のママは、うっかりすると子供たちには食事を食べさせても、自分自身の食事時間が不規則になってしまうことがあります。そのことを気にし続けているママたちが、会場の検体測定室には続々とやって来ます。
6ブースの全部に、ベビーカーが並ぶこともあるほどです。

検査を受けていないと、怖くて検査が受けられなくなる方たちがいて、パパの血糖値が気になるママたちが、健診を受けていないパパを引きずるようにして連れて来られることもあります。

ママと子供たちに見張られて、パパは血液検査を受けていますが、いったん検査を受けて心のハードルが下がると、翌年に「健診に行って来ました!」とフィードバックを持って、嬉しそうに再び来場くださる方があります。こんなリピートを現場のコメディカルたちは、とても喜んでいます。

倫理審査が承認されれば、公表します。
オプトアウトと言って、自身の検査結果を解析することを承認しない方々に「不同意」の意思表示をしていただく機会を設ける予定です。
オプトアウトの画面に計画などもこちらに記載しますから、良かったらご覧になってみて下さい。

検査費用は、未来への絆プロジェクトの発祥地の方々の寄付です
志賀町富来の中学校で、2009年に始まった未来への絆プロジェクトは、成人の日の検査で、中学生時代の生活習慣との関連を見たりと発展していますが、全額地元富来の方々の寄付でまかなわれています。
寄付者は毎年、会場のバックボードと、検査のご案内用紙の裏にご紹介しています。
みなさんの健康に貢献できることを喜んでいただいているんですよ。

では、今年の会場でお会いしましょう!

後援
MRO北陸放送
石川県薬剤師会

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Mybestpro Members

笠原友子
専門家

笠原友子(薬剤師)

笠原健招堂薬局(有限会社笠原)

漢方の選薬用質問と血液検査結果から微量栄養素の不足や日常の生活習慣をチェックし、微量栄養素補給と漢方薬の選薬だけでなく生活指導で糖尿病をはじめとする生活習慣病に対応し、特定保健指導までできるのが強み。

笠原友子プロは北陸放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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