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笠原友子

栄養と漢方で糖尿病を健康に導くプロ

笠原友子(かさはらともこ) / 薬剤師

笠原健招堂薬局(有限会社笠原)

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コラム

残薬整理で見る糖尿病薬のやめ時

2018年11月16日

テーマ:日常の活動

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

まちかど糖尿病指導薬剤師の笠原友子です。
時にこんな方が来局されます。

糖尿病の薬をやめたから
何とかしてくれ!
もう飲みたくない。

そんな方には
今すぐには自己判断でやめないでください。
と言っています。

世の中では、医療経済 がひっ迫し
重複受診や多剤併用が問題となっています。
薬が不要であれば、
医療経済的にもありがたいことです。

ところが
糖尿病薬を自己判断でやめると
余計に薬が必要になる結果を
招きかねません。

飲まなかった方
飲み忘れた方
飲み残し処方薬の再利用から見てみました。

再利用した飲み残し薬は
2年で2万4千錠以上、
金額にすると100万円を超えています。

以前少しご紹介しましたが
多くの方のご興味がありそうでしたので
もう少し詳しく再掲します。

法改正で、飲み残し残薬の整理がしやすくなっています

2016年4月の法改正により
残薬整理が評価されたことで
薬剤師サイドでの飲み残し処方薬を
再利用しやすくなっています。

真面目に飲んでいると言ってた患者たち
今まで他の薬局で調剤していた患者
遠方の病院の近くで調剤してもらっていた患者まで
山ほどの飲み残し薬を持ち込みました。ギャラリー残薬整理:棒グラフ‗件数の推移

廃棄総額3,286千円の山

もっとも、持ち込まれても
持ち込まれた薬があまりに古かったり
次回の処方の中にない場合は
再利用できませんから破棄します。

破棄した中で、総額が一番大きかったのは
一人当たり3,286千円
大學病院の院内調剤のものでした。

再利用総数2年間で、2万4千錠以上

処方薬の薬価単位で集計すると
再利用した数は、2年間で2万4千錠以上ギャラリー残薬整理:数量の推移
金額に換算すると、2年間で約100万円ギャラリー残薬整理:棒グラフ‗薬価相当額の推移

飲み残しが多いのは、後期高齢者

薬を飲むと言う事すら
忘れてしまうので、仕方ありません。
薬を飲むために
何らかのサポートが必要なのか
さほど飲まなくても
影響の少ない薬であったのか?

重要な薬が飲み残されている事実

飲み残しを再利用した処方薬が
どのような薬効を持ったものであったのか?
調べてみました。

循環器用薬、中枢神経用薬、代謝用薬、消化器官用薬・・・
飲まなくて本当に大丈夫でしたか?
と言いたくなるような薬効の薬ばかりです。ギャラリー残薬整理:円グラフ‗初年度の再利用薬の薬効別割合
それも、大半が高齢者医療の方々のものです。
2年目に移行しても
やはり薬効別割合は似通っています。ギャラリー残薬整理:円グラフ‗2年目の再利用薬の薬効別分類
では、飲み残して
一番影響のあった薬は何なのか?
気になりますね。

ところが、
現状、詳細集計を公表することはできません。

唯一言えるのは
飲み残したことで
処方の変更があったのが
2つの種類の薬剤だけだったと言う事です。

それは、
パーキンソン氏病薬のような中枢神経作用薬と
糖尿病薬

やはり、
糖尿病薬を自己判断で中止していただきたくは
ありません。

生活習慣の改善をし
医療機関を受診して血液検査もし、
医師の手で処方薬を減らしていただくのが
安全です。

十分な納得を得たい方は、
地域の糖尿病専門医にご相談ください。


この残薬整理の実践報告は、
平成30年9月23、24日に
金沢市で開催された日本薬剤師会学術大会でも発表しました。

この記事を書いたプロ

笠原友子

栄養と漢方で糖尿病を健康に導くプロ

笠原友子(笠原健招堂薬局(有限会社笠原))

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