産後の腰痛には、このツボ!周産期のマイナートラブル-仙腸関節をひきしめて痛みを解消-
最近分かった?非特異的腰痛
多くの場合、腰痛は原因を特定できません。原因が分かる腰痛を特異的腰痛と言います。この中には腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、感染性脊椎炎やがんの脊椎転移、大動脈瘤、尿路結石などの内科疾患です。
これらの特異的腰痛は腰痛全体の15%にすぎません。残りの85%が原因の分からない腰痛、非特異的腰痛と言われているものです。
最近まで非特異的腰痛の原因はわかっていませんでしたが、特徴的な所見から分類がされるようになってきました。その分類を見ると私が鍼灸を始めた30年前に勉強したことばかりで、お医者さんはいったい今頃何してるんだ?と驚いてしまいました。
つまり病院でよくならずに鍼灸で良くなったのはこういった非特異的腰痛だったからです。それでもこうやって分類ができて診断がつくようになれば病院で治療を受けられることになり、腰痛の患者には良いことです。
そして前回、今回、次回と腰痛、特に腰方形筋に起こったもののお話をしますが、特異的腰痛ではないということです。
数年来の慢性腰痛が一回のはり治療で改善
42歳、男性、数年来の腰痛が悪化したため受診されました。仕事は事務職ですがたまに重量物を持つ作業があります。
腰痛の既往は数年前からで発症に思い当たる原因がありません。慢性化した原因は仕事中での姿勢や不自然な格好での就寝など、姿勢の問題が考えられました。
日中常に腰痛を自覚しており、デスクワーク中でも痛みがあるとのことでした。座っている時の姿勢を保持する筋肉に異常があると考えられました。
体を動かしてもらうと、後屈で痛みが出ました。他の動作に問題はありません。理学所見に問題なく、腰部の触診をすると腰方形筋に強いコリと圧痛を認めました。
コリの表面に鍼を当てるように斜めに約3cm刺入し「ピクッ」とした筋肉の収縮を触知したところで15分置鍼しました。
この方の腰方形筋のコリは一か所ではなく片方に三ヶ所ずつありましたので同様に置鍼をしました。抜鍼して後屈をしてもらったところ痛みはなくなっていました。
しかし、慢性腰痛ですのでデスクワークでの姿勢、腰方形筋のストレッチや筋トレ法、仕事中に痛みを感じたときの対処法などをお話して、通院してもらうことになりました。
経過は良好で仕事や日常生活に支障のない程度に落ち着きました。
気にならないという程度の痛み。痛みをゼロにしたいところですが、筋力、仕事、姿勢など努力目標がいっぱいあるので通院しながら少しずつというところで合意しました。
月に1回程度のはり治療に自宅での筋トレ、ストレッチ、散歩などの運動を続けてもらいました。
コリ、それは筋硬結
コリはどうしてできるのか、コリの発生機序はわかっていません。コリを医学用語では筋硬結と言います。筋肉中の小さなかたまりのことです。そんなところにかたまりはないというところにかたまりができます。
原因として考えられるのは何かの拍子にそこに小さな肉離れを起こして傷になりその修復過程で瘢痕化(肉や繊維が固まった状態)した、また同じ動作を繰り返し行って無理をかけ続けて硬くなったなどです。
いずれにしろかたまりをほぐさなければ痛みや機能障害(動きの悪さ)は治りません。ほぐす方法としてハリが優れています。コリに当ててしばらく放っておくだけでほぐれます。
病院では局注をします。麻酔薬を注射でコリに入れます。鍼は優しい刺激方法です。
そうやって筋硬結を小さくしていき、生活習慣やストレッチなどで大きくならないようにしていくことで体の使い方を変えていくのです。
慢性腰痛には、このツボに効け!
「外大腸兪(そとだいちょうゆ)」
前回紹介した志室も効果的です。それに加えて志室の下7㎝、腰骨(腸骨稜)の上にあります。
慢性腰痛を持病とする方は大体ここを押さえています。押さえると楽になることが自然と分かっているのです。
例えば目が疲れると目頭を押さえますね。あそこには「攅竹(さんちく)」というツボがあります。
大腸兪というツボがあってその外側にあるから外大腸兪と言います。ちゃんとしたルート(足太陽膀胱経)の上にあるツボではなくて奇穴と呼ばれる種類のツボです。
志室とおなじように10秒押してはなすを5~10回繰り返します。
まとめ
今回は特異的腰痛や非特異的腰痛など難しいお話をしました。腰痛と言っても原因がいろいろあり、鍼灸でよくなるものと病院で手術をしないといけないものなどがあります。
当院は見分けをしっかりして治療にあたることをモットーにしています。
またすでに病院で診断を受けている場合、それを参考にして鍼灸でお役に立てることを提供します。
慢性腰痛、疲れていたいときは「外大腸兪」を押せ!