共有名義の土地の分筆
境界の確認作業を行う場合、登記所や市町村役場等の資料を収集します。過去に『分筆登記』がされている場合は地積測量図は特に大事な資料となります。今回はVRS方式で設置した基準となる点から過去に分筆されている地積測量図をもとに境界杭を探しました。ただし地積測量図は位置データのない、単純に三角形の面積の公式から地積を求めた図面でしたので現地に残された杭を頼りに境界杭を探してみました。
すると一ヶ所現地に存在する杭が20cm程度地積測量図との関係で位置がなぜか一致しません。おかしいと思い本来存在するであろう位置を固い砕石敷きを割って固い土を掘ってみると35cm程度掘ってゆくと、過去の図面に記載されていた位置にコンクリート杭が見つかりました。
この地域の基準ですと14条地図(公図)では20cm程度の差は許容値ではありますが、杭があっても、しっかりと時間をかけて探査しないと境界の誤認につながります。
もし現地に杭が目視できないのであれば14条地図の位置に復元すれば良いのだという考えであえれば、短時間の作業になるかもしれません。ただし、本来14条地図は管理のための資料であり、大事なことは過去の境界杭のあった場所に復元することだと思います。各個人個人の大切な財産である土地の境界ですから、正しい位置を探し出すため、現地の杭の準拠点の選定、探査、復元位置の考慮など積み上げてゆく作業のためにどうしても手間と時間がかかります。
今回、地積測量図と杭種も位置もなぜか一致しない杭は関係者の方に確認して撤去し市道の杭でしたので再度、市役所に道路境界査定図を提出します。本来の杭を保存しようと市役所の担当者と協議しましたので現地の杭は目立つように黄色く着色して再び土をかけました。道路境界査定図面には地表面から35cm下に埋設されている旨を注意書きして世界測地系(測地成果2011)で提出するので、次回確認する場合は今回よりはスムーズに確認できると思います。