老後資金の準備を後回しにしていませんか?年金額と家計を夫婦で共有する大切さ

今村浩二

今村浩二


定年が少しずつ視野に入ってきたものの、自分が受け取る年金がいくらになるのか、毎月の家計が黒字なのか赤字なのかを聞かれると、はっきり答えられない。そんな方は決して珍しくありません。

気にはなっているけれど、仕事や家のことに追われているうちに、気がつけば何年も過ぎていたというお話を、私はこれまで相談の場で何度も伺ってきました。

年金額も家計の収支も知らないまま退職を迎える失敗

ご相談に来られる方のお話を伺っていると、よく似た状況に出会います。年金を受け取る年代が近づいているのに見込み額を確認したことがない、毎月の収入と支出をきちんと把握していない、家計の管理は配偶者に任せきりで、預貯金がどこにどれだけあるのかもよく知らない、といった状況です。

ご夫婦のどちらかが家計を管理していれば安心だと思われるかもしれません。しかし任されている側も、退職後の暮らしまで見通して管理しているとは限りませんし、任せている側は内情をほとんど知らないまま年齢を重ねていくことになります。

女性は男性よりも長生きする傾向にあるので、ご夫婦であっても、いずれおひとりで家計を担う時期が来ることを想定しておく必要があります。そのときになって初めて通帳や保険の書類を開くことになれば、何から手をつければよいのか途方に暮れてしまうでしょう。

私は郵政省に勤めていた頃から、相続を中心とした資産のアドバイスに携わってきましたが、家族の中で誰もお金の全体像を把握していない状態で、次の局面を迎えて慌てて対応に追われる場面を数多く見てきました。

お金のことは夫婦の間でもなかなか話題にしにくいものですが、知らないままでいる期間が長くなるほど、いざというときに慌てる場面は増えてしまいます。

忙しさや不安から、つい先送りにしてしまう理由

後回しになる理由を伺うと、多くの方がまず挙げられるのは「面倒だ」という気持ちです。年金の見込み額を調べ、家計の収支を整理し、将来の支出を考えるという作業は、日々忙しく過ごしている方にとって決して軽いものではありません。時間ができたら考えようと思っているうちに、いつの間にか何年も経っていたというのは、ごく自然な流れでもあります。

また真面目な方ほど陥りやすいのが、きちんと勉強してからでないと動けないという思い込みです。本を買ったりインターネットで調べたりはするものの、情報が多すぎて自分に当てはまる答えにたどり着けず、具体的な行動に移せないまま時間だけが過ぎていきます。調べるだけで行動に移さないのであれば、残念ながら調べた意味はほとんどありません。

貯蓄があまりない方の場合は、老後のお金について考えること自体を避けてしまうこともあります。現実を知るのが怖いという気持ちはよくわかりますが、目をそらしている間にも、準備に使える時間は少しずつ減っていきます。

無計画のまま退職を迎えると暮らしはどうなるか

現役のうちは、毎月の給与でその月の生活費をまかなうのが当たり前だったはずです。ところが退職後は収入の中心が公的年金に移り、毎月の生活費が赤字になるという事態に、多くの方が戸惑われます。

年金額も家計の収支もわからないまま退職を迎えると、その赤字がどれくらいの規模で何年続くのかが見えず、気がついたときには預貯金が想像以上の速さで減っていた、ということにもなりかねません。

実際に、退職後の暮らしについてお聞きすると、65歳からの10年ほどの予定はお話しになっても、その先となるとイメージできないという方が少なくありません。ご両親の老後を参考にされる方も多いのですが、寿命が延び続けている今、親の世代を基準にして考えるのは危険です。

お金の問題は、暮らし全体の満足度にも関わってきます。退職後は時間がたっぷりあるのに、手元の資金に余裕がないために、旅行や趣味など本当にやりたかったことに踏み出せないという方もいらっしゃいます。時間はあるのに何もできないという状態は、長いセカンドライフをとても窮屈なものにしてしまいます。

「節約で乗り切れる、運用はもう手遅れ」という思い込み

実は、老後のお金について話をしていると、繰り返し耳にする誤解が二つあります。

一つ目は、老後は節約すればなんとかなるという考え方です。もちろん支出を見直すことは大切ですが、退職後は医療や介護にかかるお金が増えることも考えられますし、物価の上昇によって生活費がかさむこともあります。削れる支出には限りがあり、節約だけで長い老後を乗り切ろうとすると、暮らしの楽しみまで削ることになりがちです。

二つ目は、年齢を重ねてからの資産運用はリスクが高すぎる、あるいは今さら始めても意味がないという考え方です。運用には元本を割り込むなどのリスクがあり、どなたにでもお勧めできるものではありません。ただ、年齢だけを理由に選択肢から外してしまうのは早計だと私は考えています。

生きている限り何歳になってもお金は必要ですし、セカンドライフは多くの方が想像しているよりも長く続きます。今すぐ必要なお金と当分使わないお金をどう仕分けし、どの程度のリスクなら受け入れられるのかは、お一人おひとりの状況によって答えが変わります。

大切なのは年齢で一律に判断することではなく、ご自身の年金額と家計の収支をもとに考えることです。

夫婦で家計を共有し、早めにプロへ相談を

年金額も家計の収支も把握しないまま、先送りを重ねて退職を迎えてしまうのを避けるために、まず取り組んでいただきたいのが、ご夫婦で老後や退職後の暮らしについて話し合うことです。

どちらか一方に任せきりにするのではなく、家計の状況を二人で共有し、それぞれが受け取る年金の見込み額を調べてみてください。退職後の収入と支出を並べてみて足りない部分があるとわかれば、その時点から対策を考え始めることができます。

とはいえ、ご自身の家計を客観的に判断するのは簡単ではありません。思い込みや遠慮が入りやすいテーマなので、第三者であるプロの目を入れていただきたいと考えています。ファイナンシャルプランナーは、お金のホームドクターのような存在ですから、気になることがあれば早めに診てもらうことで、慌てずに手を打つ余地が生まれます。

相談のタイミングは、できるだけ早い段階が望ましいです。準備に使える時間が長ければ、用意しなければならない資金を少しずつ積み上げていけますし、選べる方法の幅も広がります。

もっとも、子育て中は教育費の負担も大きく、老後のことまで考える余裕がないのも事実でしょう。そうした場合でも、教育費にめどがついた頃、遅くとも50代に入ったら、老後の準備にぜひ取り掛かっていただきたいと思います。パートナーの死や介護といった不安を身近に感じる年齢になってからでは、取れる手立ても限られてきます。

いきなり個別の相談に踏み出すのはハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこで私どもでは、女性のためのマネーセミナーを開催しており、退職後に備えておきたいことや年金の仕組みなどを、専門用語をできるだけ使わずにお話ししています。

セミナーをきっかけに、ずっと気になっていながらそのままにしていたお金のことに、ようやく向き合えたという方もいらっしゃいます。まずは知る場、気づきの場として気軽に活用していただき、そのうえでご自身の状況に合わせた相談へと進んでいただければと思います。

まとめ

老後のお金の準備は、知ることから始まり、行動に移して初めて意味を持ちます。年金額と家計をご夫婦で共有し、時間を味方につけて最初の一歩を踏み出していただきたいと考えています。

こんな方はご相談ください

・ご自身や配偶者が受け取る年金の見込み額を把握していない方
・家計の管理を配偶者に任せきりにしている方
・教育費にめどがつき、老後の準備が気になり始めた50代の方


お問い合わせはこちら
https://www.universal-fp.com/contact/

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今村浩二
専門家

今村浩二(ファイナンシャルプランナー)

株式会社ユニバーサル財務総研

女性のためのマネーセミナー「シアワセのマネーレシピ」を開催し、将来にわたり安心できる貯蓄法、運用法を身に付けたい女性を支援。悩みや不安をお金のプロに気軽に相談できる無料相談も随時受け付けている。

今村浩二プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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