50代、早期退職もありかな、と考えている方は

「そろそろ老後のことを考えないと」。そう思いながら、何から手をつければいいのか分からないまま、数年が過ぎてしまった。そんな方は少なくないと思います。
老後資金というと、貯め方や増やし方の情報ばかりが目に入ってきますよね。ただ、私が開催している女性向けのマネーセミナーで早い段階にお伝えしているのは、むしろ「取り崩し方」のほうです。使う順番と使うペースが決まっていないと、いくら貯めても不安は消えにくいと感じています。
2026年6月11日の日本経済新聞 電子版に、この「使い方」に真正面から向き合った記事が掲載されていました。フィンウェル研究所の野尻哲史代表が、資産を使い切るための考え方を語ったものです。
今回はこの記事を手がかりに、50代からの準備を一緒に整理してみたいと思います。
「増やし方」より先に、使い方の話をする理由
実感されているかたも少なくないのではと思いますが、「手元のお金は減っていないのに、なぜか窮屈に感じる」という現象があります。
女性のためのマネーセミナー「シアワセのマネーレシピ」では、「見た目のお金は減っていないのに窮屈に感じるのはなぜか」「なぜ多くの方が資産運用でうまくいかないのか」といったテーマを扱っています。どちらも、増やす技術の話ではなく、お金と暮らしの関係の話です。
私は2001年に株式会社ユニバーサル財務総研を設立してから、現場主義を通してきました。自分で直接ご相談にあたる件数は、およそ年間250件です。
その中で感じるのは、退職前後の不安の正体が「金額」ではなく「見通しのなさ」にあることです。あといくら必要なのかが分からないから、いくらあっても足りない気がしてしまう。ここがほどけると、表情が変わる方が本当に多いという印象です。
ですから、増やす話に入る前に、これからどのような支出があり、公的年金を含めた収入がどうなっていくのかを把握することを最初のステップにしています。
面談では、ヒアリングにじっくり時間をかけます。びっしりと書き込んだカルテを見ながら何度も仮説を立て、その方の性格まで考えたうえで、ようやくプランの形が見えてきます。遠回りに見えますが、私はこの順番を大切にしています。
3%運用・4%引き出しという「下山ルート」
資産形成を山登りにたとえるなら、退職はまだ山頂にすぎません。
先ほどの日経新聞の記事で野尻代表は、資産を蓄える期間を「登山ルート」、退職後に資産を使いながら下りていく期間を「下山ルート」と呼び、下山にも設計が必要だと指摘しています(出典:日本経済新聞 電子版、2026年6月11日掲載)。
記事の試算はこうです。65歳で退職して100歳まで35年、年金以外に月10万円が必要と仮定すると、単純に積み上げれば4200万円。ところが65歳から80歳までを「使いながら運用する時代」と位置づけ、資産を年3%で運用しながら残高の4%を引き出す形にすると、65歳時点で用意しておきたい資産は約2800万円まで下がる、という計算になります(前同)。
定率引き出しとは、毎年決まった金額ではなく、そのときの資産残高に対する一定の割合を引き出していく方法のことですが、これは運用環境が悪い年は引き出し額が自然に減り、良い年は増えるため、残高の減り方をコントロールしやすいという考え方です。
80歳からは運用をやめ、定額で取り崩す期間に切り替える。判断力の面も考えて運用からは引退する、という区切りも記事では示されています(前同)。
ここで強くお伝えしたいのは、3%も4%も「約束された数字」ではない、ということです。運用には値動きがあり、元本が保証されるわけでもありません。同じ考え方でも、公的年金の額、退職金の有無、住まいの形によって、当てはめ方はまったく変わります。
それでもこの記事に共感したのは、数字そのものよりも、使い切る計画を立てておくとお金を使う怖さから解放される、という視点でした。
「人生80年設計」のままだと窮屈になる
私が女性向けのお金の話に力を入れるようになったのには、はっきりした理由があります。
長くファイナンシャルプランナーとして活動する中で、これまでのライフプランで使われてきた「人生80年設計」のままお金を考えていると、年齢を重ねるごとに窮屈な生活を強いられる場面が多い、と気づいたからです。
ここは同業の中でも見方が分かれるところで、手元に多く残しておくほど安心だ、という考え方もあります。ただ私は、残すことだけを目的にした計画は、結果として「使えないお金」を増やしてしまうことになると考えています。
株式会社ユニバーサル財務総研のサイトでは、当社調べとして「退職後に後悔したこと・やっておけばよかったこと」を挙げています。上位に並ぶのは、退職後の資産形成、趣味を持つこと、投資知識の習得です。ここで、お金の準備と、趣味や楽しみが同じ並びで出てくるところに、私は毎回考えさせられます。
「退職後の不安」のほうも見ておくと、生活資金が足りなくなること、医療や介護の費用、物価の上昇、そして何歳まで生きるか分からないことが挙がっています。
先ほどの記事では、個人金融資産の6割以上を60代以上が保有しているというデータにも触れられていました(出典:総務省「全国家計構造調査」2019年調査、日本経済新聞 電子版2026年6月11日掲載記事より)。
寿命が延び続けるなかで、親世代の暮らし方をそのまま基準にするのは危ないと、私はセミナーでもお伝えしています。まずは今までの常識を少し疑ってみる。老後のマネープランは、そこから始まると思っています。
50代からの数年が、選べる幅を決めます
「もっと早く聞いておけばよかった」、これは本当によくいただく言葉です。50代後半の受講者の方からは、こんなお声をいただきました。
もうすぐご主人が退職するので、退職金も含めてお金のことを優先して考えなければと思いながら、日常に追われてそのままになっていた。セミナーが取り組むきっかけになった、と(50代後半/既婚)。
※個人の感想であり、成果を保証するものではありません
ネットや本で調べても正しい情報にたどり着きにくい、というお話もよく伺います。情報があふれるほど、私たちは受け身になりやすい。誰かのおすすめの中から選ぶのではなく、自分の条件を先に決めてから選ぶ順番にすると、迷いはずいぶん減ります。
ここで、今すぐできることを3つ挙げます。
一つめは、60歳以降の収入の見込み、つまり公的年金の見込み額・退職金・働き方を紙に書き出すこと。二つめは、毎月の支出のうち退職後も続く固定費を洗い出すことです。
三つめは、今すぐ使うお金と当分使わないお金を仕分けることです。40代の方にこの仕分けと預け方の見直しをご提案したところ、「不安がなくなった」と喜んでいただけたことがありました。
※個人の感想であり、成果を保証するものではありません
早く動くほど時間を味方につけることができるため、選べる幅は広がります。反対に、何も決めないまま過ぎていった年月は、選択肢そのものを静かに減らしていきます。
株式会社ユニバーサル財務総研の女性のためのマネーセミナー「シアワセのマネーレシピ」は、神戸・大阪で少人数制で開催しており、2026年8月には第297回を迎えました。40歳から65歳くらいの方に向いた内容です(https://www.universal-fp.com/seminar/)。
老後のお金は、増やすことと使うことが両輪です。どちらか一方だけでは、暮らしは安定しません。
株式会社ユニバーサル財務総研では、おひとりずつに合わせた資産運用プラン「マネレピ」をお作りしています。マネレピとは、生涯を通したお金のシナリオであるマネープランをもとに、その方だけの資産運用プランに落とし込んだもののことです。
無料個別相談も承っており、担当者が変わらない専属制でお受けしています。老後資金の取り崩しについて、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
老後資金は、いくら貯めたかよりも、どう使うかを決めたときに落ち着きます。取り崩し方まで含めて設計しておくことが、これからの安心につながると私は考えています。
・退職後の生活費や公的年金の見込みを、まだ整理できていない方
・資産運用の必要は感じているものの、何から始めればよいか分からない方
・ネットで調べた情報が自分に当てはまるのか判断できずに迷っている方
女性のためのマネーセミナー・無料個別相談のお申し込みはこちらからどうぞ。
https://www.universal-fp.com/


