世界経済は21年、6%成長 IMFが公表
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの今村浩二です。
平成28年、国会で物議を呼び採決が強行された「年金カット法」。
この改正ルールが、今年の4月から始動します。
そして、公的年金の2021年度の支給額は、今年度より0.1%減ることに決まりました。
年金額の引き下げは2017年以来4年ぶりのこと。
物価と賃金の変動率を基準に毎年見直しが行われ、少しずつですが変動している年金額。
新たに施行される「年金カット法」とは、どのような制度なのでしょうか。
【新ルール】
物価上昇率より賃金変動率が下がった場合、賃金のほうに合わせて年金も引き下げられる
出典:日本経済新聞「年金給付抑制へ一歩 支給額は賃金連動、デフレ下では制約」
これまでの制度では、賃金が下落した場合でも、
それ以上に物価が上昇していれば、年金額が下がることはありませんでした。
しかし今回の改正によって、たとえ物価が上昇していても、
賃金の下げ幅が物価の上昇を上回った場合には給付額が下げられることに。
物価が上がり生活に必要な費用がふくらんだとしても、
反対に受給できる年金は減る可能性があるという厳しい内容となっています。
今回は、賃金変動がー0.1%、物価変動率は0.0%だったため、年金はー0.1%になりました。
民進党による試算では、10年間で5.2%減額とし、モデル世帯の年金額に当てはめると、
国民年金で年間4万円(月3,300円)、厚生年金では年金14万2,000円(月1万1,800円)
という試算結果に。
厚生労働省の試算では、それよりは緩やかであるものの、
国民年金で年間2万4,000円(月2,000円)、厚生年金では年間8万4,000円(月7,000円)の減額となっています。
内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、
「家計にゆとりがない」という回答は25.4%。
なかでも不安なことは「収入や貯蓄が少なく、生活費がまかなえなくなる」が最も多く、
「自分や家族の医療・介護費用」「転居や有料老人ホームへの入居費用」と続きます。
実際、総務省の「家計調査」で65歳以上世帯の黒字月額を見てみると-2万8472円。
毎月3万円の赤字となっています。
毎月減っていく貯蓄残高。
不安になることはないといっても気休めでしかないかもしれません。
今、年金受給者のうちおよそ600~700万人が生活保護水準以下で暮らしていると言われています。
現在ですら公的年金だけでは通常の生活費も賄えない状況。
今回の改革によって高齢者世帯の家計はますます厳しいものとなることが予想されます。
不安を抱えることが当たり前の老後に備え、年金だけに頼るのではなく、
現役時代にコツコツと資産を構築していくことを考えましょう。