兄妹
先日訪問したAさん(93歳、女性、要介護4、娘さんと同居)
この冬は体調を崩して、しばらく入院されていた。
これまでも、何度か入退院を繰り返していたが、
今回は、ほとんど食べられなくなり、
娘さんも、「もうアカンか・・・」と思ったという。
せめて最後?に少しでも・・・と、大好きなモンブランのケーキを買ってきたらしい。
クリームを少し、口元に付けた・・・ら、
舌先でちょっとなめた・・・とたんに、Aさん、
ぱっちりと目をあけて、「オイシイ」と言ったそう。
あれあれ・・・と驚く間に、クリームのところは、ほぼ全部食べたとか。
それから、食欲が出てきて、みるみる回復し、
無事に家に帰ってこられた・・・というお話でした。
ホントによかった。
何かの番組で見たのでは、ヒトの感覚というのは、
触覚、臭覚、視覚、聴覚、味覚の順に強いらしいけれど、
Aさんは、大好きなモンブランの味で、見事に復活されたのでした。
人によっても、状況によっても、違うのだろう。
母の場合は、う~ん、
今一番強いのは、やっぱり味覚かな。
味覚と聴覚。
好きな味のモノが口に入ってきた時の「おっっ!!」という声は、格別。
そして、母にとっての心地よい声や音楽があると、ごきげん。
「父に似た声」や、父がよびかけていた「おかぁさん」という言い方には、
びっくりするぐらい、反応する。
その姿は、セツナイ。
だれにとっても、その人にとっての“特別”があって、
それを、周りのダレカがわかっているということは、
とても大切で、幸せなコトだと思った。