一緒やったら
先日訪問したAさん(86歳女性 要支援1 独居)
変形性膝関節症で人工関節のため、歩行は少々おぼつかないが、
4点杖をレンタルし、日常生活はほぼ自立。
朝、いつものようにすぐ近所へゴミ出しに行く途中で転倒したらしいが、
いちおう骨折もなく、膝(手術した方とは反対側)と腕、顔面の打撲で済んだ・・・とのこと。
骨粗鬆症なので、お医者さんからは、『アンタ、もっかいこけたらもう寝たきりやで!!』と、ずっと言われていたらしい。
「こけへんように気ぃはつけてたけどね~」と言いながら、
とにかくカルシウムをしっかりとらないと!・・・と、
毎日カルシウム増量?の魚肉ソーセージを食べ、
だしジャコを炒って、おおやつがわりにせっせとつまんでいたらしい。
「それがよかったんかね~」
「効くかどうかはわからんでも、しとってイイやろうことで、自分でできることは、
やっとこ思てね~」と笑ってはる。
Bさん(88歳女性 要支援1、独居)
転倒による骨折での入院から退院して1年弱ほど。
退院当初は、トイレでの立ち座り補助の手すりをレンタルし、
室内移動はシルバーかーを利用していた。
訪問時、玄関まで何も持たずにスタスタ歩いてこられ、
玄関上り框段差も、柱を持ってひょいっと昇降してはる・・・
思わず、「すごいっ、身軽に歩けるようになられて~」と言うと
「みなさん、びっくりしはりマス」と、いたずらっこのような笑顔で振り返った。
まだ、歩くと腰は痛いし、痛み止めの座薬もずっと使ってはいるけれど、
杖をついてバスに乗って一人で通院ができるようになったと、とてもうれしそうに
話してくださった。
「誰かに付き添いを頼むのも、あれこれ都合を合わせてもらったりと気兼ねでねぇ~」
「どしてもまた動かれへんようになったらしょうがないけど、なんとか動ける間はね!」
また、ニマっと笑って、ひょいひょいと歩いて、見送って下さった。
Cさん(76歳男性、要介護3、奥様、息子さんと同居)
退院して半年。
半身麻痺と、前立腺肥大症、高次脳機能障害がある。
ベッドに腰掛けて座ることや、トイレまで行くことなど、
かろうじて見守りで、できてはいるが、ほぼベッド上で寝ている。
音や文字などが苦痛で、家族の会話やTVの音がイヤ。
トイレが気になり、1時間おきぐらいに行く。
「それしかすることが無いねんし、動かへんねんから、
いいリハビリや」・・・とご家族はおっしゃる。
「気力が無く、それ以外は何もしない」と、ぴしゃり・・・
Cさんは「それだけトイレが気になることは苦痛」だと、小さい声でおっしゃった。
だんだん、家族のムードが険悪・・・
「人にやってもらったほうが楽やから、何にもせ~へん」
「気力がないんや」と、次々・・・
Cさんに気力が無いとは、思わない。
わかりやすい「気力」ではないが、1時間おきにトイレに行く・・・というのは、
かなりなエネルギーを使うことで、ストレスもすごいと思うのだ。
Aさん、Bさん、そしてCさん。
「気力」があるとかないとか、一方的に周りが受け取ることで、
その先が、ずいぶん違ったものになるような・・・