沁みついて
いつからコラムを書いていないのかも分からなくなっていますが、
まず、父の手術が無事に終わっていることをご報告しておきます。
説明で聞いた通り、胃の全部と、大腸の30cmぐらいを取ったので
7時間ほどのけっこうな大手術だったようです。
が、よくTVで見ていた場面のように、手術着に着替え、点滴を打たれながら
ストレッチャーで手術室に入っていく・・・と思っていたら、
いちおう看護師さんに付き添われてはいるけれど、パジャマにつっかけばきのまま、
自分で点滴台をカラカラひっぱって、手術室に入ったのでした。
そこからの7時間は、まあけっこう長かった・・・けれど、
それこそTVのように、前のベンチで家族が手を組んでうなだれて座って待っている・・・
というのとは全く違い、久しぶりに会った姉と私はしゃべくり倒していたのでした。
大腸のほうがあまりに悪い場合は、胃の手術はしないこともあるときいていたので、
いちおう時間は気にしつつ・・・
予定通り7時間ほどたった時に、「終わりました」との声。
別室では、実際に切り取った「胃」と「大腸の一部」がトレーにどーんと乗っかっていて、
ここがこうで・・・こっちがこうこうで・・・と説明をきいた。
目の前のこの物体が、父の体にあったものだという実感は無いまま・・・
その後、30分ほどしてICUに戻った父に会いに行った。
麻酔はすっかり冷めており、「寒い」とガタガタ震えてはいたけれど、
酸素マスクの下から、なんかボソボソ言っているので聴くと
「深呼吸と足首動かすのは、ちゃんとやっとかな」と足をガサゴソさせている・・・
思わず笑って、いやいや、今はまだいいんちゃう・・・と答えながら、
術後は別人のように成り果てる・・・と聞いていたので、本当にホントにホッとした。
そして昨日、無事にICUから元の病室に戻ってこれた。
これもまた、看護師さんが持って入った車いすには、荷物が乗っており、
体中に管をつけたままの父が自分で点滴台をカラカラ引っ張って、歩いて出て来た。
さすがに私もびっくりした。部屋に入ってから、思わず、実際の距離を確かめに
歩数を測ってきたら、ほぼ80mはありました・・・
さすがです。
さっき来たメールでは、おしっこの管も抜けて、無事に出て、
さらに1階にある放射線科へ胸部と腹部のレントゲンを撮りに、
一人で歩いて行ってきたらしい。(もちろん許可が出てだろうが)
嬉しい半面、やはりあのトレーに乗っていた物体は、誰か他の人のんやったんか???
という疑いがムクムク・・・(いやいや冗談デス)
技術の進歩に、先生方の腕やら、いろいろあってのことですが、
82歳という年齢からすると、まさに驚異的に回復しているのではないだろうか。
なんかようわからんけど、癌になったもんは仕方ないコトで、
「切ったら元気になる」と単純に信じて手術を受けた父。
(説明はちゃんと聞いてはいるけれど、父の解釈として)
この単純さが道を開いているような気がする。
これから先、何があるかはまだまだわからないけれど、
正当に単純さを受け継ぐ娘としては、一緒に無邪気に応援していこうと思う。
ご心配おかけしました。
ありがとうございました。