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短い杖で

坂部智子

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テーマ:エピソード集

本日訪問のAさん(82歳女性、要支援2、一人暮らし)
少し足腰が弱ってきてはいるが、日常生活は、ほぼなんでも一人でこなしている。
ベッドからの起き上がり、立ち上がりの補助として、手すりをレンタル中。

風呂椅子(フツーの丸い穴の開いた高さ20cmぐらいの)から立ち上がるのが
だんだんしんどくなってきたそう。
介護保険では、一割負担で入浴補助用具の購入も、
手すりの取付などの住宅改修もできると聞いているけれど、
まだ、ちょっと立ち上がりにくいだけで、そこまで必要なわけではない・・・

なんか、支えるモンがあったら、立てる・・・
そうや、杖を使おう・・・
(もらいモンの杖が、5・6本もあるし・・・)

ということで、木製の杖を切って、
その風呂椅子から立つときに支えやすい長さの52cmにしたそう。
ベランダで、踏み台にのせて、のこぎり引いて・・・
どれぐらいの長さがいいのかわからんから、
ちょっとずつ切っては合わせてみて・・・を何度も繰り返してできあがった
と、見せていただいた。
確かに、その椅子から立ち上がるには、ちょうどいい。
ちょっと支えられたら・・・ぐらいなら、十分すぎるぐらい役に立つ。

「誰もおらへんねんから、一人でせなしゃぁない」
「ずっと、なんでも自分で工夫してやってきた」
「だんだん出来んようになってきたけど、まだ、杖切るぐらいはできる」
「あられもないカッコしてやけどな・・・」
「誰もみてへんし・・・」と、笑ってはる。

いやいや、もっともっと若いモンでも、(若いとなおさらか?)
今は、なかなか自分でノコギリ引くことまではしない。

「工夫する」ことと、「自分でやる」こと。
長年のその積み重ね。
Aさん、素敵デス!

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