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あったものが

坂部智子

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テーマ:日々ねた

昨日で、ここ新長田の大丸が閉店した。
地下鉄が開通した時からだから36年かな・・・
ずっとあったものがなくなるのは、とてもさみしい。

新しいモノにも、もちろん魅力は感じるけれど
古いモノやなくなっていくものに、より意識が向くのは
やっぱりもう、人生も後半生をしっかり歩んでいるからかな。

昨日が最後だとわかっていて、
ちょこっとでものぞこうと思っていたのだけれど
なんだか、あえて最後を見届けない方が
いつもの姿で記憶に残るような気がして、行かなかった。
(また自転車忘れて来たら困るし・・・いやいや(笑))

なのに、帰りのバスが
いつもはたいてい遅れているから、そそくさと発車するのに、
時間調整で長らく店の前で停まっていた。
「さよならコンサート」の真っ最中で、地元の高校のコーラスやらで
たくさんの人だかり。
遠目にもなんとなく、集まっている人たちの年齢層が高いようにみえた。

神戸の街で長年親しんだ百貨店。
繁華街の元町店、ニュータウンの名谷店と、比較的近隣に店舗があるにはあるけれど、
なかなか電車に乗ってまでは行けないし、地元新長田の店が重宝すると、
訪問先のお年寄りからもよくきいていた。
高齢化が進むこの町で、百貨店というおすまし顔ではなく、
気さくでほんわりとして、かつ下町ならではの威勢もあって
すっかり地元の顔として 大切にされていたのにな。
赤字続き・・・などと具体的な数字を出されると、何も言えなくなるけれど。

あったものが、なくなるということ。
モノであれ人であれ、なんでも・・・
それをただそっと自分で引き受けることが、
年をとっていくということなんかな。

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