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アイロン

坂部智子

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テーマ:日々ねた

昨日久しぶりにアイロンをかけた。
(日頃の横着暮らしぶりがまた露呈・・・)
会社勤めを辞めてから、身に着ける服が、どんどんアイロンが不要なモノへと移行。
しかし、もらいモノの(?)「パンツ」が、どうもセンタープレスが必要なようで
仕方なく(こらこら)アイロンをかけることにした。

どうせなら・・・とタンスの中からいろいろひっぱり出す。
ここ何年も洗いざらしで着ていたシャツやパンツにもあててみると
・・・見違える。3割増し上等になったよう。
これから ちゃんとあてようと、誓った。(いちおう)

確かにアイロンかけは、おっくう。(人によるかと思いますが・・・)
会社勤め時代、制服だったので 毎日曜日
一週間分のブラウスのアイロンかけは、とても憂鬱な作業だった。
(まさに「サザエさん症候群」やったかも・・・)

歳をとると けっこう堪える家事であるとも思われる。

突然思い出した。
入院中に、いつもピシッと糊がきいて、
きっちりアイロンがかかったパジャマを着ているご主人がいはった。
もしかしたら、タオルにもアイロンかけてるんとちがうか・・・と思うほど
何もかもがピシッとしていた。
しょっちゅう来られる奥様が、見事なまでに マメにきっちりされていた。

・・・しかし、入院が長引いて、奥様にも疲れが出て
「アイロンがもうしんどくてできない・・・」と、とてもつらそうに
心底 申し訳なさそうに ご主人に言っていたのを思い出す。

もともと気にせずに ノーアイロンでもなんでも平気で着ていると
アイロンなんて、しんどい時には別にしなくても・・・と思う。
そんなに変わるモンでもないし・・・。

けれど、そのご主人は、パジャマにアイロンがかからなくなったとたん、
髪もぼさぼさになり、ひげも伸び放題、
洒落たジョークを飛ばす紳士だったのが、言葉使いもなんだか荒れてきた・・・

みかねたその奥様は、またアイロンかけを始めた。
「これだけは・・・」と言って。
しばらくして、奥様が別の病院に入院した・・・と聞いた。
そのご主人もすぐに転院。

私には、ちょっと悲しい記憶。
もちろんアイロンだけのせいではないだろうし、
ここに引っ張りだす話なのか、わからないけれど。

その人にとっての「信条」というのかな、
こういうことって、けっこう ある。
いつも言うように、もちろん いいとか悪いとかではない。

今の私にとっては、たまのアイロンかけが、
ちょっと襟を正すいい機会になった。
ついでにボタンの付け直しや、繕いなどのお裁縫もして
すっかり“できる”気分になって ごきげん。(いつもながら単純)

とっても いい効果。
(ちなみに、父はマメに自分であてている・・・娘をあてにせず・・・)

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