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がんばり過ぎて

坂部智子

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テーマ:仕事のはなし

大腿骨を骨折し70日の入院で退院してきたAさん(87歳女性 要支援1)。
昨年にも左大腿骨を骨折し、その時は入院と老健でのリハビリとで4か月。
今まで使っていたベッドでそのまま生活ができるように、
日常生活に困らないように、寝返りの仕方、起き上がりなどなど、
しっかりリハビリをしてきたとのこと。

もともとがんばるタイプ。
今回右を骨折し、前回以上にリハビリをしないと・・・と無理を重ね、
結果、両膝の変形性膝関節症となった・・・
リハビリの時間以外にも階段の上がり下りを、一生懸命一人でやったらしい。
・・・当然、Drには叱られるは、家族からもさんざん怒られたとのこと。

がんばったAさんの気持ちはわかる。
Aさん家は、巷によくある公営住宅の4階。
だが、エレベーターが停止するのは2階か5階。
5階までの直線階段を上がり下りしないと、どこにも出かけられない。

もちろん、“がんばり”と“無茶”は違うし、
“チャレンジ”と“無謀”も違う。

しかし、特に、一度は“がんばった”リハビリで、ある程度の回復を果たした人ほど
Aさんのように、その次にもがんばり過ぎて、悪い結果を招くことが多い。
後になるほど、年齢は上がっているのである。

日々、いろいろな方と出会う。
回復期、維持期、悪化(後退)期・・・
人によって、もちろん様々だけれど、
同じ人でも、それぞれの時期で、気持ちの面はずいぶん違う。
Aさんのようにがんばり過ぎる人は、
その“がんばり”がはっきりとした成果として現れないと、「脆い」・・・ことが多い。

少しでもその時々の状況、気持ちに添えるように
会うたび、今その瞬間のその人を、そのまま受け取れるように
そんな大きさの器を、持てるように・・・

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