電動ベッド使用の注意 基本
「変えられることを変える勇気と、変えられないことを受け入れる勇気」
学生時代に、灰谷健次郎さんの本の中で 見つけた言葉。
入院中も、それからも、折りにふれて 心に浮かぶことば。
「介護に正解は無い」と、思い知る日々の中で、
今、課題となっている“このコト”は、果たして、変えられることなのか、
もうどうしても変えられないことなのか・・・・・
まず、そこから 向き合う。
最近相談が多くて、なかなか解決できないことがある。
男性の尿モレ。
いろいろと試供品を取り寄せて、試してもらったりしているが
ホントに千差万別で、あっちで上手くいったパターンがこっちでは全く役に立たない。
だから「介護に正解は無い」のだけれど、永遠の試行錯誤・・・状態。
そもそもの素朴な疑問なんですが、
人間の体の形状で、男女差が最も顕著な部分のことなのに、
なんで、大部分の商品が男女共用なんか?ということ。
数少ない「男性用」と、うたったパッドは、
“敷く”のではなくて、“巻く”という使用ができることになっている。
この“巻く”というのが、なかなか上手くいかない。
(体の状態によっては、上手くいっているパターンもありますが)
相談者の方々は、歩行困難ではあるけれど
日中、起きて、座って、そろそろ移動して・・・という活動ができる。
トイレに行くには、間に合わないことがある。
独居のため、ポータブルトイレ、尿器は、畜尿量が多くなると始末が大変なので
使わず。
さらに、
ここが、実はポイントだと思っているのだけれど
もともとの下着の嗜好(?)が、“トランクス派”なのです。
今時の若者ほどではないけれど、いわゆるこう、ぴったりするのがイヤで、
パンツを下げ気味にして、すかすか(?)した状態を好みはる。
ので、
紙パンツを穿いても、しっかりとは引き上げない。
ゆる~い隙間があるため、当然モレる。(横向いて寝ると特に)
で、隙間を埋めるためにパッドを使いはります。
上述の“巻く”パターンで使った場合。
トイレが間に合わず、座って、あるいは移動中の状態で、出る(出す)と、
巻かれた斜面(?)を流れる尿の勢いのほうが強くて、吸収が追い付かない・・・
という事態になるそうです。
寝たままで、出るのもちょろちょろ・・・という人向けやろ~!!!と 怒りはる。
前だけで受けて吸収するような、特殊な形状の男性用パッドもある。
が、容量が少なすぎるし、価格が高い。
(機能的には満足とのこと。愛用のトランクスに貼りつけても使えたそう)
で、“敷く”パターン。
後ろ側が大きくなったタイプのだと、そちら側を前にしてあててもらう。
しかし、隙間が、ここでも問題になる。
肌への密着性を高めるために、紙パンツの股部分にギャザーが寄っている商品があるので
今、それを取り寄せ中。
個人の嗜好の問題ですが、
長年親しんだものなので、変えるのは、かなり大変。
トイレで、“立ってする”ことに、いつまでもこだわる男性も本当に多い。
女にはわからん、男のプライドだと言われる。
(最近の男の子は、子供のころから“座ってする”子が多いと聞くけど)
そう、ここで、文頭の言葉が登場する。
変えられること、変えられないこと
最後は、その人の選択だと思っているので。
「がまんする」のでも、「諦める」のでもないところで、
好みや、馴染みなど、囚われていることを いったん手放して
変えること、あるいは、受け入れることを選択してもらう。
(もちろん、用具に対する不満や要望は、きちんとメーカー側に上げていく。)
上述の相談に対しては、
昼間のトランクスを、モレるのを最優先に防ぐならば、
せめてボクサーパンツぐらいに変えてみては・・・・と話してみた。
パッドがずれないように押さえるために。
吸収体部分が肌に隙間なく当たるために。
すかすか・・・ではどうにもならないから・・・・と。
慣れれば、紙パンツも、ちゃんと引き上げて穿けるようになるかも・・・。
そこが、変えられることなのか、どうなのか
一人ひとりと、しっかり向き合い、
こちらもきちんと相手の選択を受け取っていく。
それぞれの選択から 納得のいく範囲の対策をみつけていく。
要は、実益か、美学か(表現悪いかな・・・)。
経験上、最終的には実益とるほうが多いけれど、そこに至る過程が大切なんやと思う。
ボクサーパンツ、どうなるか、
また報告します。