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太平洋の奇跡

坂部智子

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テーマ:感想(TV、本、他)

太平洋の奇跡
~フォックスと呼ばれた男~ を観た。

あんなふうに 亡くなった人達がたくさんいた。
あんなふうに 戦った人達がたくさんいた。
あんなふうに 生き抜いた人達がいた。

今から65年ほど前。
たまたま 生まれた時代が ほんの少し違ったというだけ。
本当に、ほんの少ししか違わない。
それだけで、全く違った人生を生きた人達。

映画館には、60代、70代と思われる方(特に男性)がとても多かった。
開演前、「兄がサイパンで戦死して~」と話す声が聞こえてきたりもした。

この映画の原作者はアメリカ人。
日本人が、あまりにも何も知らないことを疑問に思い、
この実話を伝えるべく出版し、映画化への道を模索していたそう。

私も、知らない。
知らないではイケナイと思いながら。

仕事で出会う方達から
戦争体験を聞くことがよくある。
シベリア抑留されていたという方
英語を話せた叔父が、スパイ容疑で日本軍に殺されたという方。
満州から引き揚げてきた方
・・・・・他にもたくさんたくさん。

映画を見ても話を聞いても、本当には決してわかることは無い。
それでも、今のこの暮らしが当り前ではないこと
決して忘れてはいけない、そのことだけは、痛切に思った。

わかりやすい勧善懲悪のような、
絶対的な悪をやっつけるための正義の戦いが、戦争なのではない。

何のために戦うのか。
「軍国主義教育」だけがつくりあげたものではない、
その当時の日本人の心の在り方、魂の共鳴。

いいとか悪いとかではなくて。

映画にはアメリカ側の視点も織り込まれている。
日本人の在り方を理解し、
なんとか戦いをやめて、投降させようと奔走するアメリカ軍の大尉がいる。
すごいことだと思った。

そう、どんな時も、どんな状況でも、
人そのものの在り方なのだとも感じた。
(もちろんそれを上回る状況ではあるけれど。)

終わって、出口で
「もう意味わからん~って感じ」
「わけわからんで眠かった」・・・というきゃぴきゃぴした話し声が聞こえた。

なんともいえない感情が 沸き起こった。

今を生きている者の責任。
深く、刺さる。

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