目が離せない
「わしはホンマにぐうたらでなぁ~」とご主人が笑う。
93歳。
奥さんが88歳。
「結婚してすぐ兵隊に行って、この人は、中国で落馬してそのまま100メートルも引きずられたんや」
と 奥さんが話して下さった。
「子供が四人で」とご主人が話すと、「三人や」と奥さん。
「あぁそうやったかなあ、このおじいさんはホンマに何もわからへん」
とご主人が頭をなでながら笑いはる。
「孫ができんで」とご主人。
「四人おるがな、あっ、あと二人か」と奥さん。
また「このおじいさんはホンマに~」とご主人が笑う。
モニタリングの資料には奥さんが認知症とある。
ご主人を「ぐうたらで困る」と言う奥さんと、
「ほんまにようしてくれる」と奥さんをほめるご主人。
結婚して65年になると言う。
『正しい』 も、『誰が』 も、
軽~く超えて 笑ってはる。
利用者さんが 「先生」。
ほんとうに。
生きること、よりそって暮らすこと、
たくさんたくさん 教えてもらっている。
受け取る側の心がきれいじゃないので、まだまだ見えていないこと
受取きれていないことが 山ほどある。
毎日毎日 たくさんの「先生」に出会っている。
積み重ねていこう。