コンサルタントは背水の陣
こんにちは。「専門家を使う専門家」のコラムの翻訳者、えりかです。
今回のコラムでは、“コンサルタントが導く成果”についてのお話です。
このコラムの大きなポイントは、“導き出す答えと応えの違いを知る”ということです。
さて、専門家を使う専門家の話が始まります。
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今回はコンサルティングの成果とは何か?についてお話いたします。
昔からコンサルタント達の教育に使われている言葉として、
「コンサルタントは答えを教えるのではない。企業のメンバーが自ら答えを考えられるように指導することだ。」があります。
確かに、答えをコンサルタントが次々に教えますと、企業側では自ら考えると言う思考が無くなってしまうのではないかと言う心配はあります。しかし、これは昭和時代でコンサルテイングの手法(VE、IE、TQCなど)がまだ一般に知られていなかった時代のお話です。
現在、中堅クラス以上の企業では、ほとんどこのような「管理技術の手法」は新人教育の時から取り入れられています。
先ほどの、「〝コンサルタントは答えを教えるのではない。”と言う言葉は、コンサルタント側からの都合の良い言い逃れではないか。」と言われた企業の役員がいらっしゃいました。
その通りですね。企業の側からすれば、「高いコンサルティングフィーを払っているのだから、当社では考えつかない答えがコンサルタントから出てくるものだと思った。」と言われても不思議ではありません。
コンサルティングの成果は「答え」すなわち、ある具体的な解決方法であるのか、それとも「応え」、コンサルタントが現場に質問して返ってきた返答なのか?どちらでしょうか。
「答えは現場にある。」と言う言葉もありますが、それは、「このような質問をしたところ、現場からの応えはこれだった。」が実態なのではないでしょうか。
ここでひとつAIを使って研究をしてみましょう。
例題として、ChatGPTに質問します。
(質問)
私は経営コンサルタントです。ある製造メーカーから在庫が多いので在庫削減のコンサルティングを依頼されました。半日、ヒアリングをしたところ、この会社で何故、在庫が多いか、それは営業の人間が顧客志向と言いながら、まるで丁稚の使いのように言われたことをそのままストレートに製造側に伝えるだけであるから。つまり営業のやり方に問題があるとわかりました。
この企業をコンサルタントとして指導するにあたり、いきなり答えをだしてしまうと1日で終わってしまうので、何とか1年間のコンサルタント指導ができるようなコンサルティングプログラムを作成してください。
(ChatGPT回答)
在庫削減に向けたコンサルティングプログラムを1年間のプランとして提供するためには、段階的なアプローチを取り、企業全体の意識改革とプロセス改善を目指すことが重要です。以下に、12か月間のコンサルティングプログラムを示します。
1. 初期評価と計画策定(1-2ヶ月)
月1: 初期評価と現状分析
ヒアリングの実施: 営業、製造、物流、経営陣など各部署と詳細なヒアリングを行い、現状の問題点を把握。
データ収集: 在庫データ、販売データ、製造計画、注文履歴などのデータを収集。
現状分析: 問題点の特定と課題の洗い出し(例:在庫の過剰な原因、コミュニケーションの問題点など)。
月2: 改善計画の策定
ゴール設定: 在庫削減の具体的な目標を設定。
改善プランの作成: 営業プロセスの見直し、製造計画の最適化、在庫管理システムの導入などの具体策を策定。
KPI設定: 成果を測定するためのKPIを設定。
2. プロセス改善と導入(3-6ヶ月)
月3-4: 営業プロセスの改善
トレーニング: 営業チームに対するトレーニングの実施(顧客志向の理解、効果的なコミュニケーション法など)。
プロセス見直し: 顧客からの注文情報の収集方法と伝達方法の改善。
新ツールの導入: CRMシステムやその他のITツールの導入と活用。
月5-6: 製造・在庫管理の改善
製造計画の見直し: 製造計画の柔軟性を高めるためのシステム導入やプロセス改善。
在庫管理システム: 在庫管理システムの導入・更新、在庫の可視化を図る。
サプライチェーンの最適化: 仕入れ先や物流プロセスの見直し。
3. 定着化と効果測定(7-9ヶ月)
月7-8: 定着化のサポート
継続的トレーニング: 営業、製造、在庫管理チームに対する定期的なトレーニングとサポート。
フィードバックサイクル: 定期的なフィードバックミーティングを実施し、改善点の確認と調整。
問題解決支援: 発生する問題に対する迅速な対応と解決支援。
月9: 効果測定とレビュー
中間評価: 設定したKPIに基づく中間評価を実施。
成果の共有: 改善の進捗状況と成果を全社的に共有し、成功事例を紹介。
4. 最終調整と持続可能な仕組みの構築(10-12ヶ月)
月10-11: 最終調整
最終調整: 改善策の最終調整と定着化の確認。
最適化: データ分析に基づく最終的なプロセス最適化。
文化の浸透: 持続可能な改善文化の定着を図るためのワークショップや勉強会の実施。
月12: 総括と今後の戦略
最終評価: 全体の成果を評価し、KPI達成度を確認。
最終報告書: 改善結果の報告書を作成し、経営陣に提出。
次期計画提案: 今後の継続的改善に向けた提案と次期コンサルティングプランの提案。
その他のポイント
定期的なコミュニケーション: 月次報告会や経営陣との定期的なミーティングを設定し、進捗状況を共有。
チームワークの強化: 部門間の連携を強化するためのチームビルディング活動やコミュニケーション改善策を導入。
このような段階的かつ継続的なアプローチを取ることで、企業全体の意識改革とプロセス改善を実現し、在庫削減の目標を達成することができるでしょう。
如何でしょうか。
コンサルタントがいろいろな企業を指導してきた経験から、最初から答えがわかっているなら、コンサルタントはそれを仮説として提示し、企業の方々に説明し、質疑応答を行い、納得が得られたなら、即、その案を実行する。このような会社こそが「令和の勝ち組」になると思います。
答えを企業側のメンバーに考えさせるには時間がかかり、そして出てきた答えは質問に対する、その企業の実情に合ったレベル=応えです。
※参考
答え:相手からの問いかけに対する具体的な。解答
応え:呼ばれたり質問されたりしたのに対する返事。応答。
さて、競合企業はどうでしょうか。外部の専門家を使い、社内では考えつかないような答えをどしどし出してもらい、良いとわかればすぐにそれを実行する。
先ほどのAIに対する質問では、答えを企業のメンバーに考えさせるコンサルティングでは、1年間=12か月=365日かかるのが、専門家ではわずか1日で出してしまいます。1年もかけていては、企業の中にいる成果を出せる人間は、あほらしくて辞めてしまいます。
最後に申し上げたいのは、ILOの定義=コンサルティングとは
「コンサルティングのプロセスとは、ある業務または一連のプロセスないし構成について、どんな形にしても助力を提供することである。」
とされています。
すなわち、考え方や進め方だけでは、それは「やらせ。」であり、真の助力とは「新しい考え方の提供」であると言えます。
コンサルティングの目的は「ムダを省くこと」と言いながら、コンサルタント自身、1日で終わることを1年間もかけて行うのは「ムダを売りつけている。」ことになっていないでしょうか。
私の尊敬するコンサルタントのTさんは、「ムダを省きたいだけ。」と言われ、ご自身のコンサルティングも無駄のない指導をされています。
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